Diary 2010.8.28 (Sat) : A Filetta

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 地中海、フランス・コルシカ島の男性7人組ポリフォニー・コーラス、ア・フィレッタ A Filetta の日本最終公演へ(伊丹アイフォニックホール)。ほとんど予備知識なしに出かけたのだが、何とも不思議な歌だった。

 聴いて分かることは、教会コーラスをベースにしていることと、そこに多様な音楽要素が混ぜ込まれていること。このコンサートに出かけたそもそもの動機は、大好きなオクシタンのポリフォニー(マルセイユやトゥールーズ)との関連性に興味を抱いたから。しかし実際に聴いた彼らのコーラスは、声を張り上げることがほとんどない静謐なもの。オック勢の祝祭性とは対照的。ひたすら優しく美しく物哀しい。訳もなく涙腺を潤ませる音楽。曲によっては、ストリングス中心の極上な映画音楽、あるいはアンビエント・ミュージックに浸っているような気分にもなる。

 不思議さを醸し出している要因のひとつは、独特なハーモニーにもあるのではないだろうか。コブシ的に半音程度(4分の1か?)のシフトを微妙なタイミングで繰り返すものだから、その瞬間々々に馴染みのない不思議で美しいハーモニーが生まれる。そして、時折瞬間的にふっと現れる極めて美しいメロディーの断片。とりわけそれを感じさせたのが 'M4. 1901年' だった。

 じっくり分析的に聴いていくと、かなり複雑なことをやっていることにも気がつく。'M7. 恐るべき御稜威(みいつ)の王よ' などで披露したノンブレスかのように聞こえる通奏低音や、'M12. メディターテ' で3つの主旋律と歌詞が並行する様などは、とても効果的で試みとしても面白い。また、'M16. クントラスト' の独唱にはマグレブからの影響が顕著。

 昼に電話すると幸いにも「当日券あり」だった。しかも、まずまずの入りだったのにも関わらず1列目、2列目の良い席にも空きがある。おかげでリーダー、ジャン=クロード Jean-Claude と真向かいに座して聴くことに。基本的にPAなし(薄くリヴァーブを足しているだけ)だったので、これは特等席。こうしたコーラスはやはり生音で聴くのが理想的。とても気持ちがよかった。

 折角なので終演後、CDを買ってメンバーのサイン会に並ぶ。プランクトンの川島社長が「私の友達」と紹介して下さったせいなのか、ジャン=クロード、コルシカ語で文章を添えて下さる。「自分の胸の内に進む道を持っているのは大切なこと」といった意味らしい。



 今、買ってきたCDを聴きながら書いているが、CDよりも今日のステージの方がずっと完成度が高く、音楽的にも素晴らしかったように思う。さてさて、後でライナーも読んでみようか。的外れなことをどれだけ書いただろう。

 それと、、、昨年クリスマス・シーズンの来日公演が流れてしまった、マニュ・テロン Manu Theron 率いるマルセイユの6人組男性ポリフォニー Lo Cor de la Plana にも、やっぱり日本でコンサートを開催して欲しい。プランクトンさん、彼らも招聘して下さらないだろうか。

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by desertjazz | 2010-08-28 23:59 | Sound - Music

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