2010年 10月 20日
Readings : 丸山淳子『変化を生きぬくブッシュマン』

・ 丸山淳子『変化を生きぬくブッシュマン』
また1冊面白い本と出会ってしまい、今夜読み終えた。私が一番好きな場所(過去50数回海外を旅して最も印象深く記憶に残っている土地)は、ボツワナ共和国のカラハリ砂漠、それも自然保護区に指定されている国中央部のセントラル・カラハリ・ゲーム・リザーブ(CKGR : Central Kalahari Game Reserve)なのだと思う。なので、CKGR で狩猟採集生活を営んでいた(そして近年そこを国によって追い出された)ブッシュマンに関する最新研究書であるこの本は見逃せない。
そして読んでみたら、実に素晴らしい内容だった。丸山氏の博士論文をベースにした(リライトした)研究書なので、カラハリやブッシュマンについての基礎知識がないと結構辛いかも知れない。けれども、個人的にはとにかく面白く読めた。挟まれるエピソードが面白いというのではない。個々の論述が興味深いのだ。最後の狩猟採集民をそのまま保護する対象と見なして、その変化を認めないのではなく、逆に外圧的に生じた変化までも好意的に観察し、そこに「ポスト狩猟採集民」という新たな/逞しい人間の姿を捉えている。そしてそのように導き出される洞察に、しばしばハッとさせられもするのだ。
この本とその周辺については、きっと書く(と思う)。取りあえずの雑感は Twitter にて…。
・ http://twitter.com/#!/Desert_Jazz
残念なことに、カラハリのブッシュマンの音楽やダンスが今どうなっているかについては、ほとんど記述がなかった。だけど、ひとり親指ピアノをつま弾いたり、朝までトランスして踊ったりしていることだろう。また訪ねて行って、楽しませてもらいたい。
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