2010年 12月 08日
Dubai / Maroc 2010 (8) : Rayan
ファッシフォン Fassiphone のアーティストで好きなのは、ジャラル Jalal El Hamdaoui を別格として、次はバッカル Bakr、そしてシェブ・ラヤン Cheb Rayan。実はこの3者、共同制作も多いのだが、それぞれのリーダー作の異なる個性に惹かれている。脳天直撃トランシーなレッガーダを爆発させるジャラル、レッガーダの極上キラーチューン連発するバッカル、バラエティー豊かなスタイルのポップで聴かせるラヤン。最近のアルバムのトータリティーでは、もしかするとラヤンが一番か。なので、マラケシュを離れる前日にラヤンの2枚を新たに見つけられたのは幸運だった。
・ Cheb Rayan "Yalemmima Ferhi"
・ Rima & Rayan "Dana Dana"
シェブ・ラヤン Cheb Rayan / الشاب ريان(本名 Berroho Othman)。モロッコ北部、タンジェ生まれのライ・シンガー(1980年2月18日生まれ)。アルジェリアのシェブ・ハスニに憧れて歌手を目指し、ウンム・クルスームからも大きな影響を受けているという。リーマ Rima とデュエットした 'Dana Dana' がスマッシュヒットし、その後マグレブ圏での人気を高めるに至る。
経歴を要約するとこうなるが、聴いて連想するのはハスニよりもシェブ・マミ。マグレブに限定されないインターナショナル・ポップとしての大きな魅力を感じる。
"Yalemmima Ferhi" は全曲自身の書き下ろしで、アレンジャーとしてジャラル(2曲)とバッカル(3曲)が参加。リーマとの双頭アルバム "Dana Dana" は、彼をスターダムにのし挙げたそのタイトルチューンが冒頭に収録されている。'1, 2, 3 Soleils' を模したかのようなエレクトロ・オーケストレーションなど、多彩なアレンジも聴きどころ。
・ Rayan "Ma Chérie ..."
3年前に入手したアルバム(データベースで確認すると購入日は2007年11月8日)。作はジャラル4曲、ラヤン6曲。ジャラルは全トラックのアレンジも担当し、冒頭の 'Golou l'mama' ではシンガーとしてもフューチャーされている。続く2トラック目はリーマとの再演(?)。
"Dana Dana" はまだリーマの方が役者が上といった印象だが、"Yalemmima Ferhi" と "Ma Chérie ..." の2作はとにかく素晴らしい。レッガーダ、バングラ、ラガ、クワイト、ラテンの祝祭、そしてしっとり歌い込まれるライ。正直、声そのものにはさほど魅力を感じない。ハレド、ハスニ、マミをいいとこ取りし、サウンドスタイルのボーダーから拡散していく雑食性旺盛なダンス・チューンが彼の持ち味。そんなサイバー・ポップがもたらすパーティー気分に心を許すのも悪くない。
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