2010年 12月 22日
Dubai / Maroc 2010 (22) : Riad Magellan
マラケシュ後半の3夜(11/23〜11/26)投宿したリヤド Riad Magellan は、気持ちよいところだった。古い住居を改装して、1階と2階それぞれに3室設けた、計6室のみという造り。さほど広くはないのだが、それでいて各階と屋上に寛げる共有スペースがきちんと確保されている。フランス人オーナーを筆頭に、皆フレンドリーで、どのような相談でも親身になってベストの解答を引き出して下さることに大満足。ドライブに出る朝には、食事の時間を早めてもくれたことにも感謝。
日本を出発するまで数週間の段階でまだ2部屋残っていて、選んだのは Green Room。2階の奥にあり、最もプライバシーと静穏を保てるためか、一番高い部屋だった。それでも DH 900、約9000円。値段もリーズナブルで、さすがは tripadviser でも高評価なのに納得する。
朝食も美味しかった。
部屋の扉にカギがないのが最初驚きだった。リヤドの入口は常に閉められていて、ノックすると開けてもらえる。外部の人間が入ってこられないのだから、カギは必要ないわけだ。
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ここ何年かホテル探しで信頼を置いているのは tripadviser だ。今回も "Rough Guide"、"Lonely Planet"、『地球の歩き方』の3冊を事前にチェックはした。しかし、ホテルとレストランに関しては、『歩き方』は全く役に立たない。また、 "Rough Guide" も "Lonely Planet" もホテルに関しては情報が古いと思った。推薦されているのは、言ってみれば「老舗」。かつてはベストだったのかも知れないが、今はピークを過ぎて、後発のホテルに追い抜かれてしまっている感がする。こうした特徴は、今回のモロッコに限らず、これまで訪れたほぼ全ての国々に共通して言えることだと思う。
ついでに書くと、自分は "Rough Guide" 派。国によっては "Lonely Planet" の方が優れていることもあるが、情報の鮮度・量・信頼性の点で "Rough Guide" が勝っていると思う。少なくとも、"Rough Guide" の地図なしでは、マラケシュのスークは正確に歩き回れなかった。
Riad Magellan を見つけられたのも、tripadviser のおかげ。1位から順に公式サイトや評価をチェックして行って、最初に納得できたのがここ。700を超えるリヤドの中で常時ベスト10に入っていて、予約する前には6位だった。また、ドバイでも、最後に泊まったカサブランカでも、tripadviser で探して、安くて奇麗なホテルに宿泊できた。
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Riad Magellan は、フナ広場から北に200mほどで、買い物や散策するにも抜群のロケーションだった。だが、重大な欠点がひとつ。それはディナータイムに BGM を流すこと。それも、ジャズ・スタンダードの超有名演奏ばかりを集めたコンピレーションで、その同じ1枚のCDを毎晩聴かされる。ここのディナーには興味があったものの、この BGM から逃れたくて結局パスした。この空間には音楽なんて全く不要だと思うのだが、欧米人はこんなムードに騙されてしまうのか? 白人のやることが時々分からなくなる。
2階で読書していても耳障り。普段なら好きな演奏なのだが。仕方なく iTunes を起動して、Nitin Sawhney をうっすら再生して、外から忍び込んでくる音楽をフィルタリング。旅行中は基本的に全く音楽を聴かないのだけれど、よっぽどの時には Nitin Sawhney を聴くことが最近多い。Mac / iPod に入れているのは、"Human"、"Philtre"、"Prophesy" の3枚。Cheb Mami をフィーチャーした 'Moonrise' も好みの1曲だ。
少し耐えているうちに、辺は静まる。22時頃だろうか。モルトウイスキーをグラスに注ぎ、文庫本を持って、部屋を抜け出す。外のソファーに横になって読書の続き。スークの真ん中にいるのに、本当に静かだ。近くのフナ広場の音も届かない。
熱帯や砂漠では、虫たちの発する細やかなノイズに包まれることが、最高の快感だ。それに惹かれて、自分は旅を繰り返しているのかも知れない。けれども、他の土地では、こんな静謐さをこそ愛する。音楽も何もいらない。ただただ、この時間がずっと続いてほしいと願う。
泊り番をする老人が、屋上への扉を閉じ、灯りをひとつひとつ消してゆく。最後に「ここを消してくれよ」と身振りで示して、それから去ってゆく。
そろそろ眠りにつこうか。
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