2011年 01月 06日
◆ Dubai / Maroc (26) : モロッコ激情の声
こうなった大きな理由は Kanye West の新作 "My Beautiful Dark Twisted Fantasy" が素晴らしすぎたこと。年末繰り返し聴いているうちに、自分にとってこの作品が聴くべき音楽のひとつの基準レベルとなってしまった。それは怖いことである。しかし、これに匹敵する新作などありそうもなく、ついついこのアルバムとそのDVDばかり観て聴いてしまう。
加えてこの作品の重厚なサウンド、自室モニター PMC OB-1 との相性が抜群だ。耳と共に全身で体感する響き、一瞬溜めた後に爆発するドライブ感。普段聴いてきた他の音楽とは全く異次元の空間に持っていかれる。爆音再生を許されるオーディオ・ルームを欲しいと、久し振りに思ったほど。
(そのうち歌詞も知りたくなってきたので、日本盤も買うつもりでいた。けれども、ここから辿って原詩を読んでみると… 最低! この作品は歌詞を知らずに聴いていた方が利口そうだ。)
他には相変わらず Sufjan Stevens や Marewrew などを聴いていて、他には何もいらないといった気分になる毎日。昨年はこうした音楽と巡り会えて、とても幸せだった。そんなことを思いながら、モロッコで買ってきたアラブ・アンダルース系のCDも時々聴いて楽しんでいる。
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…ということで、突然ながら「モロッコ旅行記」を復活し、作品紹介。
アブデラヒム・スーイリ(正しい綴りは Abderrahim Souiri)は、1957年エッサウィーラ生まれのミュージシャン/シンガー。父も有名な音楽家。アブデラヒムはアラブ・アンダルース音楽をモダン/ポップにした人物で、モロッコの現代アラブ・アンダルース音楽を代表するひとりと言われている(初期のアルバム?は、ここで紹介されている)。
この2枚組ライブ(疑似ライブの可能性もあるが、オーディエンス・ノイズがずっとミックスされており、ヴォーカル・マイクが歪んでいるトラックもあるので、実際のライブなのかも知れない。同タイトルのDVDもあり、それを観れば確認できるはず)は、マラケシュの店で山のように平積みされて売られていたので、人気も高いのだろう。
大編成のバンドと女性コーラスをバックに、アップテンポなナンバーをほぼノンストップで熱唱。かつてのアラブ・アンダルース音楽にあったような典雅さから幾分離れて、シャービやライの大衆性や下世話さが映し込まれている。正に激唱。しかし、その中に華も感じさせる。最初は結構一本調子な印象があったのだけれど、大音量で聴き直してみたら印象が違った。やはりこの手の音楽は歌い手の熱気が伝わってくる聴き方が必要なようだ。
"Volume 2" の (3)〜(4) のメロディーには聴き覚えが。Orchestra National de Barbes などもレパートリーにしていた有名曲だと思うのだが、ちょっと自信がない。
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ファッシフォン Fassiphone はほとんどレッガーダばかり買って聴いていたが、アラブ・アンダルース音楽やシャービなどにも良さげなアルバムが見つかりだした。またモロッコに行って、いろいろ調べてみても面白そうだ。
未紹介作品、まだまだ残っているので、また気が向いたら取り上げてみよう。
ところで、「フェズ・レコードことFassiphone」なのね。ブリュッセルが本店で、フェズは支店だと思っていたのだが、どうやらその逆らしい。これなら、フランス盤よりモロッコ盤の方がずっと安いことの説明がつく。
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