2011年 01月 12日
◆ ビールの美味いつまみ
村上春樹の『1973年のピンボール』を読了。「村上春樹(なるべく)全小説再読」の2冊目。
正直なところ、村上春樹の小説はよく分からない。好きとも言えるし、それほどでもないとも言える。自分は評論家ではないし、世評も賛否並び立っているので、別段それで構わないだろう。
実際、読み終えるごとに「何を伝えたいのか?」と考えてしまう。けれども、彼の作品を読んでいると釣られてついついビールを飲み始め、毎度それで幸せな気分になる。それだけで取りあえず満足してしまう。そんな読み手も多いのではないだろうか。ならば、とてつもない予算を投じて作られたビールCM以上の効果があるはず。それだけも偉大な作家だ。
またちょっとした描写に自己投射してしまったり、絶妙な比喩に巧みなアドリブ・ワンフレーズを聴いたときに通じる快感を覚えたりも。『1973年のピンボール』でもそうだった。「自分は鼠かな」なんて思いながら…。
酸化して焦げたように茶色くなった紙の色を見つめて、この本を最初に読んでからそろそろ四半世紀になる時の長さを痛く感じる。思えば、函館の宇宙塵や Brown Sugar、札幌の Jamaica、渋谷の国境の南などは、自分にとっていろいろな意味でとても大切な空間だった。村上作品の中のバーを舞台にしたやり取りを読む度にそう思う。来月には上京するつもりなので、また国境の南で美味しく飲めるのだろうか?
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しばらく(数年程度)連絡を取り合っていなかった数人と、突然メールのやり取りが始まった。ここ数日、読書のペースは上がらないし、寒くて走りにも行けないので、ちょうどいい。
その中のひとつはオランダのマイケル・ベアード Michael Baird から。Sharp Wood Production からの新作が出たとの連絡。マイケル自身のジャズ・アルバムで、詳細は以下の通り。
・ Michael Baird and Friends "Ends and Odds" (Sharp Wood Production, SWO 038)
A nicely weird but groovy collection of thirteen different pieces, all written and performed by Michael Baird. An ambient afro-jazzy meltdown, original down to its inner core. Voodoo-jazz for all occasions. Including the Tokio dancefloor hit 'Pinky's Dayout'! With some help from friends Layba Diawara (GUI) - balafon, Rick van Heerden (ZIM) - alto sax, Sophie de Vries (NL) - vocals, Marianne Noordink (NL) - nay, Cherry Wijdenbosch (SUR) - vocals, Jasper le Clercq (NL) - violin.
サンプル盤が届き次第、聴いてみることにしよう。
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さて、次に読む村上作品、順番に行けば『羊をめぐる冒険』かと思うのだが、その前に短編集か何かを挟むか。作品リストを眺めていて、今日が村上春樹の62歳の誕生日であることに、さっき気がついた。おめでとうございます。
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