2011年 01月 30日
◆ Dubai / Maroc (28) : 2010年裏ベスト

海外で音楽を探し歩いていると、ときどき強烈なローカル性や、独特なヴィンテージ臭の匂い立ってくるレコード(CDなども含めて)に出会う。そんな場合には、一瞬迷った末に買ってみて、そして繰り返し聴いているうちにすっかりハマってしまうものが多い。どうやら昨年11月に訪れたマラケシュでも、そんな音楽に巡り会ってしまったようだ。
ナイジェリアのポートハーコートで古いハイライフのカセットを買い集めたり、フランスのファッシフォンでエル・アンカ El Hadj Med El Anka のリイシューCDを見つけた時と同様、マラケシュでも古い音源のリイシューはないだろうかと思って少しだけ探してみた。ジャケットの雰囲気で一番興味をそそられたのがこのアルバム(写真)。
聴いてみると男性歌手(多分ジャケ写の人物だろう)を中心としており、ウード、カーヌーン?、笛(ひとつ、あるいは多数)、ダラブッカなどのパーカッション、それに男女のコーラスも加わって、結構大きな編成になっている。曲ごとに編成は異なるが(全9トラック)、早いテンポの演奏ばかりで、アラブアンダルース音楽を大衆化したものといった趣である。俗っぽい歌声が特徴的だが、ウードや笛などの迫力あるインタープレイに聴き惚れ、それらが激しくなってドキドキする瞬間があるほどだ。
このCD、11月末に帰国して以降、ほとんど毎日のように聴いているので、「2010年のベスト10」に入れようかとも迷った。だが、入手困難なCDを入れたリストを公開するのは好ましくないと思って、それは止めにした。
ベストに入れなかったもうひとつの理由は…、実はアーティスト名もアルバムタイトルも読めないから。分かったのは、アラビア語の発音から判断してモロッコ音楽だろうということ、カサブランカから南にある Settat のレーベル Ouhmane Cassette からのリリースであること、そしてこの Ouhmane Cassette は Nass El Ghiwane の初期の作品もリリースしていることくらい。モロッコ音楽の関連資料をあれこれ調べているのだが、さっぱり分からないまま。マラケシュの店頭で試聴していたら隣にいた若者も買っていったので、地元ではかなり有名な音楽家なのだろう。
もしかしたらモロッコ音楽に詳しい方やアラビア語を読める方にとっては、さほど珍しくもない存在なのかも知れない。そうした方々からのお知恵も拝借したいと考えて、やっぱり軽くでもここで紹介してみる気になった。すっかり気に入ってしまったので、彼の作品は他にも聴いてみたいし、似たような音楽についても色々知りたいと思っている。
実は彼のCDはもう一枚入手できた。そのことなどについての話は、また今度。
(続く)
♪
♪
♪