◆ 「遅すぎた旅」について

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 1月は自分としては少し読書を走り過ぎた。そのこともあって今月は旅に関する軽めのものを読んでいる時間が多い。

 一昨日4日には道祖神からリニューアルされた『DO DO WORLD』 NO.132 が送られて来た。特集は「心を残して、モロッコ」(文・写真 沢木耕太郎)。沢木にとって初めてとなる10年ほど前のモロッコ旅行のことが綴られている。マラケシュの感想で「遅かった」「間に合わなかったか」と書かれているところで目が止まった。昨年マラケシュを訪れた直後にも「マラケシュは変わった」と度々耳にした。かつてあった何かが消えてしまっているのだろう。

 だが、これはマラケシュに限ったことではない。20年ほど前にバリ島のウブドを訪れた時には夜は真っ暗闇で懐中電灯が手放せなかった。それが今では語るまでもない変貌振り。あちこちに24時間営業のコンビニですらあるのだから。しかし、その20年前ですら「来るのが遅すぎた」と感じた。それどころか、20世紀初頭に出版された有名な旅行記に「遅すぎた。かつての素晴らしさが失われている」といったことが、すでに記されているのだった。

 どんな土地も変化からは逃れられない。だから余りにノスタルジックになってはいけないのだろう。リゾートや快楽を求める旅をするにはとても恵まれた時代でもある。それでも、情報が乏しかった時代の方が旅の醍醐味があっただろうなと思う。

 ここ数年、国内でも海外でもなかなか行き先を決められない。あてもなくのんびり歩き回る旅がしたい、静かな場所で素朴な人々と触れ合いたい…。そんなことを考え続けているのだが、どこも情報が溢れかえってしまっていて、もはやそのような願望が叶えられる可能性はほとんどないのだろう。旅立つことが段々億劫になってしまっているのには、現代の旅が余りにシステム化されていて、そこから外れることが難しくなっているからなのだろうと思う。




 2月19日(土)に道祖神の大阪営業所が主催するアフリカ・カルチャー講座が面白そうだ。音楽人類学研究者の矢野原佑史さん(→ ここ の中にパーソネルあり)が「カメルーンの熱帯雨林地域に暮らす"森の民・ピグミー" の音楽文化」について現地収録した映像を中心に講演するという。個人的にアフリカの音で一番好きなのがピグミーの音楽なので、これには是非参加したいのだが、この日は東京で飲んでいる予定だ。残念!




 次で10度目になるアフリカ旅行の行き先はまだ決めていない。もしピグミーに会いに行けたら、やっぱり「遅すぎた」と思うのだろうか? それとも、貴重な体験になるだろうのだろうか? 実現性はとても低いが、ピグミーの森を訪れる夢だけは持ち続けていたい。





by desertjazz | 2011-02-06 15:00 | 旅 - Abroad
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