2011年 02月 11日
週末旅行 2011-2 (Day 1)
大阪 → 尾道
朝から雪。結果として出雲を選ばなかったことは、どうやら正解だったようだ。雪景色の中の出雲大社も素敵に違いないと思ったのだが、これほどの雪では不快な旅になることだろう。出雲行きは、今年少し暖かくなってから出かけるタイミングを探ればいい。
9時少し前に自宅を出て、9時57分発の新幹線に乗る。自由席はかなりの混みようで、座れない乗客が多数。考えていたより駅に早く着いてしまい、時間に余裕があり過ぎて、20 分ほどホームに並んだ。しかしそのおかげで座れたので、それでちょうど良いくらいだった。考えてみたら世間は今日から3連休。これほど人出が多いとは予想外だった。
車窓からの風景は真っ白い雪景色で、まるで北海道の鉄道に乗っているかのような気分。白い世界は姫路あたりまで続いた。

車中では普段通りのんびり読書して時間つぶししようと思ったのだが、初めて見る景色が続くとので、流れていく風景をゆったり楽しむべきだと即座に頭を切り替える。こんな当たり前のことに乗ってから気がつくようではいけないな。
11時03分福山着。11時10分発の普通列車に乗り換えると、やがて瀬戸内海が見え始めた。磯の香りがするのは気のせいだろうか。
11時29分に尾道着。駅西のホテル・アルファワンに荷物を預け、ブラブラ歩き始める。暗い曇り空で寒い。
まずは千光寺公園を目指し、丘の上までの急な石段を登る。ここの絵がいきなりいい。そして公園からの見晴らしに見とれる。瀬戸内に点在する島々を一度眺めてみたいと昔から思っていたのだけれど、実際このような景色はかつて見たことがない。

ただ、明るさが少ないのは残念で、天候が良ければ絶景だろうという気持ちにもなる。それでも来て良かったと素直に思う。

いったん丘から降りて、市街地方面に向かう。途中、気になるこじんまりとした店がいくつかあったが、取りあえずパスして進む。

急な段々に挟まれた踏切も面白い。その絵を写真に収めようとした時、カメラのバッテリー切れの表示。充電が不完全だったか、それとも寒さで一気に放電してしまったのか。これは写真なんか撮らないで、ゆっくり過ごせという合図なのだと受け取り、以後なるべくカメラは取り出さないことに決める(先に書いた通り、軽量化のために充電器は持ってこなかった)。

13時半頃に「宮徳」へ。昼食はここと決めていた。評判の店なので、時間をずらして行ったのだが、店内は空いていた。定番のせいろずしを注文。熱く蒸し上がった甘い味が良い。接待も大変丁寧で気持ちの良い店だった。
ぶらぶら歩いているうちにいつの間にか町の東端まで来てしまった。折角なので午後は東の端から寺巡りをすることにした。尾道ではこれが一番良かったかもしれない。屋根のラインの美しい寺が東半分に多かった。印象的だったのは浄土寺の本殿と多宝塔(二重塔)の姿。特に後者の建築美。説明を読むと後者は国宝と書かれていた。なるほどと納得。
この寺巡りのコース、その道だけは奇麗な石畳に整備されている。他とは区別されているので歩く分には分かりやすく、そのようなデザインがなされていることに、観光地ならではの巧みな工夫が見て取れる。しかし、他の領域とは金のかけ方が対照的で、これはどうなのだろうという疑問は残った。
尾道は「雰囲気がいい」と聞いていたが、正にその通りの印象が続く街だった。まず町の構造がとても面白い。急な坂と斜めの道と細い小路と立体交差の数々。遠くには島や橋や船が密集している。こんな風景は他にはないだろう。
そして短い滞在だったが、人の良さもしばしば感じられた。自分はあまり地図を頼らず勝手に歩き回ることを好む。今日も途中、明らかにコースから外れているなと思った途端、ある店のご婦人が飛び出してきて案内を買って出ることがあった。そんな親切に触れた街歩き。
町に響く音の数々も実に美しい。電車の走る音ですら決して耳障りではなく、時々思わぬところに据えられている水琴窟の繊細な調べにも耳を寄せる。
古い建物の細かな部分の細工にも懐かしさを覚える。佇まいに何とも言えない味のある町だ。しかし、崩れ行く/壊れかけている、という印象も強くもった。
夕方、一度ホテルに戻り小休憩。夜は尾道ラーメン。ガイドブックで紹介されていたうちから、そこそこ客も入っている様子の店を選んだが、ここはハズレだったようだ。素直に、混み合っていた駅の「たに」か、昼間長蛇の列だった「朱華園」かにすべきだったのかも知れない。食後どこかで少し飲んで行きたい気分もあったが、良さげな店が見つからず、寝不足と移動の疲れもあろうかと思い、駅の売店で地酒を2カップを買ってホテルに戻る。

ホテルは一泊5100円(+朝食750円)で、想定した予算を若干オーバー。駅に最近なのは便利だが、部屋のほぼ真下を列車が走り、夜中も貨物列車の音がけたたましくてよく眠れず。
天候には恵まれず、半日気の趣くままに歩いただけだったが、それでも多くの人々が魅入られる理由が分かったような気になった。次回は晴れた日に再訪問し、しまなみ街道を辿って松山の道後温泉まで行ってみたい。その時にはロードバイクで走ってみるのもいいな。
(続く)