2011年 05月 27日
"Michael Veal & Aqua Ife / Volume One"
マイケル・ヴィール Michael Veal の EP がリリースされた。かれこれ 10年近く前にリリースが計画されていたアフロビート・ジャズの快作ファースト・アルバム "Afro-Kirlian Eclipse" はお蔵入り(…だろう。理由も伝え聞いたが、ありきたりなものだった)、その後マイケル本人が「もうすぐ出る」とメールしてきた EP盤も出た様子がないので、多分これがようやくの初正式リリース作のはず。
収録トラックは 'Djerma New Drum Chant' (9:56) と 'Late General (Chief) Odopa' (10:37) の長尺曲2曲。基本的には "Afro-Kirlian Eclipse" からさほど変化のない、アフロビートをベースにしたクールなインストゥルメンタル・ジャズだ。
'Djerma New Drum Chant' は左右のギターのピッキングやパーカッション(シェケレも含む)の細やかなビートがアフロビート的。そのベースのビートとホーン・アンサンブルをバックに、バリトン、トランペット、テナー、トロンボーンがソロをまわす。ストレートなアフロビートからはかなり遠いサウンドで、アフロビートをベースにしたセッションといった方が良いかもしれない。特にテナーの後半はジョン・コルトレーンを手本にしたインプロビゼーションだ。ヴォーカルレスなせいもあるが、ゴリゴリなアフロビート好きにはちょっと物足りないだろう。
'Late General (Chief) Odopa' は冒頭のユーモラスなリフとそれに続くアドリブのオルガンがキャッチーな曲。これもリズムのベースにはアフロビートが刻まれているものの、一聴フュージョン風なソフト・ジャズで耳が反応しない。2曲とも "Afro-Kirlian Eclipse" 時代から進展を感じさせないので、もしかしたら新録音ではないのではないだろうか。
それでも、"Afro-Kirlian Eclipse" に収録された 'Super Nova' などのエキセントリックで卓抜なアフロビート・ジャズには及ばないながら、マイケル・ヴィールのサウンド・スタイルにようやく誰もが触れることのできるだけでも嬉しいリリースだ。
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このリリースを知ったのはフォローしている方の TW でリンクされていたディスク・ユニオンのページを見てのこと。聴くのを待ちきれなかったので、ダウンロードして聴いた(Amazon ¥300、iTumes ¥1500、など)。
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そのユニオンのページを読んで、「こんなことを憶えている人もいるんだ」と思わず感心。皆さんいろいろチェックされているのですね。
このブログでは書物もあれこれ取り上げているが、気になる本は出てすぐ発売当日か翌日に読んで紹介することが多いせいか、著者や関係者から即座に連絡が来ることも多い。ここ1週間ほどの間にもお二人から「ブログ読んだ」と知らされた。下手なことは書けないな、とは思いながらも、批判含めてこれからも自由に書いていく。
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"Afro-Kirlian Eclipse" を聴き直しながら、もっとじっくり書くつもりだったのだが、その "Afro-Kirlian Eclipse" のディスクも、菊地成孔さんの『聴き飽きない人々<ロックとフォークのない20世紀>対談集完全版』もしまい込んでしまってでてこない。
対談(まがい)のために菊地さんがウチにいらした時にお聴かせしたのは 'Super Nova' からのメドレー。Michael Veal の神髄はこの Wayne Shorter 曲のカバーにある。ネットに動画がアップされていたような記憶があるので、興味ある人には探して聴いてみて欲しいと思う。
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