"Afro Latin Via Dakar" (4) : Idy Diop (part 1)

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"Idy Diop Dans Dioubo" (N'Dardisc 33-15, 1974)



 70年代にセネガル人らが演奏したラテン音楽を中心にコンパイルしたアルバム "Afro Latin Via Dakar" のブックレットには、1ページをフルに使って掲載されたアルバム・ジャケットが3点ある。そのうちの2枚はオルケストル・バオバブ Orchestre Baobab の "Baobab de Dakar / Gouye-Gui" と "Orchestre du Baobab / Visage du Senegaal" で、残る1枚がなにかというとイディ・ディオップ Idy Diop のファースト・アルバム "Idy Diop Dans Dioubo"。正直これには驚いた。

 シンガー/パーカッション奏者であるイディのレコードはダカールで何枚か見つけたのものの、当時聴いた印象は「眠い」のひとこと。なので、どうしてこのような大きな扱いがされているのか不思議だった。しかしここ数日彼について調べてみたら新発見と再発見の連続。興味深いことが次々に分かってきたので、現時点で把握できたことを整理しておきたい。



 まず今回のコンピに選ばれた 'Dioubo' がいい。オーソドックスなアフロキューバンの範疇にありながら、バオバブに似たテイストも感じさせるサウンドで、特にギターのアルペジオとソロ、サックスの演奏などは気持ちよく耳に響く。そう思ってその "Idy Diop Dans Dioubo" (↑ジャケを上に掲載)も久し振りに聴いてみたのだが、これがどうして良いアルバムではないか。

 ならばと彼が参加した録音をレコード棚に探してみたら、こんなアルバムも出て来た。

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"Idy & Sidy / Gorgui" (Discafrique DARL006, 1983?)

 ギター奏者 Seydina Insa Wade とのアルバム。

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"Seydina Insa Wade / Yoff" (Sonodisc ESP 8415, 1985)

 Seydina Insa Wade アルバムに Oumar Sow とともに参加。

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"Orchestre Cheikh Tall et Idrissa Diope" (Soumbouya Musique IK 3025, ? )

 Orchestre Cheikh Tall との双頭バンド。Seydina Wade もメンバー。

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"Star Band de Dakar Vol.6" (Sonodisc SAF 3025, 1980)

 Soumbouya Musique 盤のリイシュー(同内容)。

 アフロキューバン・スタイルを脱しつつ、アルバムごとに毛色の違った音楽をやっている印象で、トラックによってはンバラ的な側面も感じさせる。だが、ベストなのはやはり "Dans Dioubo" だ。

 残念ながら私が持っている "Idy Diop Dans Dioubo" のディスクのコンディションは余り良くないので、もっと良い音で聴きたいと思って探してみた。すると、70年代の音源が昨年末にセネガルをベースとするレーベル Teranga Beats からリイシューされていることに気がついた。

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"Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall / Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" (Teranga Beats, 2010)

 ここには "Dans Dioubo" からも 'Dioubo', 'Tioro Baye Thierno', 'Yaye Boye' の3トラックも収録されている。このアルバムはアナログ2枚組でプレスされているので(他に CD と DL もあり)、セネガルのレアグルーヴもDJユース化がさらに進んでいるということか?

 …とここまで調べて、肝心なことに今ごろ気がついた。Idy Diop と Idrissa Diop は同一人物じゃないか !? Idrissa Diop の CD は80年代以降いろいろ出ているが全てノーチェックだったので、全く気がつかなかった。

 Teranga Beats のリイシュー盤ライナーは全文ネットで読めるようになっている。ざっと読んだ上で、最近2日間で判明したことを整理してみよう。

・イディことイドリッサ・ディオップは70年代初期にハラム Xalam やリオ・バンド・デ・ダカール Rio Band de Dakar などのバンドでシンガー/パーカッション奏者として活動。
・サボール・バンド Sabor Band、サヘル Le Sahel などでも活動。
・これらのバンドには、Thierno Koite(現 Baobab)、Cheikh Tidiane Tall、Seydina Wade なども参加している。
・74 年にファースト・アルバム "Idy Diop Dans Dioube" をリリース(一方 Teranga Beats のライナーでは、69年録音と書かれている)。このころはアビジャンをベースにしていたようだ(?)
・以降もコンスタントに音楽活動を続け、マラヴォワのラルフ・タマールとレコーディングしたり、カルロス・サンタナと共演したりもしている。

 Xalam にも近年の Idrissa Diop にも関心が湧かず、これまでほとんどスルーしてしまっていたので、不覚にも見逃していたことが多い。中でも何より重要なことは、Idy が Le Sahel の主要メンバーであったということ。つまりイディは過去40年間最前線で活動してきただけでなく、極めて重要な存在だったことになる。なるほど特別扱いされる訳だ。

 それは一体どういうことか? 次回はその詳細について Twitter に先行してメモしている分も含めて紹介する予定(その続編 'Idy Diop (part 2)' も同時に書き上げたのですが、また長くなるので明晩に分けてアップすることにします)。


(続く)




Linernotes of Idrissa Diop (Teranga Beats)
"Afro Latin Via Dakar" (1)
"Afro Latin Via Dakar" (2)
"Afro Latin Via Dakar" (3) : Boabab





by desertjazz | 2011-07-07 00:00 | Sound - Africa

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