2011年 07月 19日
"Afro Latin Via Dakar" (9) : Tropical Jazz / N'Guewel
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"Tropical Jazz de Dakar" (disques M.A.G. M.A.G. 100, ? )
ダカールにおけるラテン音楽シーンはなかなか奥深く、知られざる名バンドは Orchestre Dakar Band に留まらない。例えば Tropical Jazz de Dakar などは昔から好きで、彼らの曲が今回のコンピに選ばれていたとしてもおかしくないと思う。この彼らのアルバムは A. Rodriguez や L. Harlow などのラテン・ナンバーが4トラック、ほか2つがギニアン・ポップという構成。'Demba Camara' という曲は73年にダカールで事故死した Bembeya Jazz のリードシンガーへのオマージュ曲で、まるでその Bembeya Jazz かのような演奏だ(このことから録音は74年頃と推測される)。
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60年代から70年代前半にかけてダカールを席巻したラテン・サウンドの魅力と面白さは Star Band de Dakar、Super Star de Dakar、Super International Band などを聴くと再認識できる。しかし、こうした数々のバンドの面々も離合集散を繰り返し、ラテンの枠を超えたサウンドを模索し続けることになる。それは西アフリカの伝統音楽だったり、ジャズだったり、あるいはロック、ソウル、ファンク、サイケ、ポップだったりと様々で、代表格は Orchestre Baobab、Star Number One de Dakar、Etoile de Dakar などだ。一方、ラテンにばかり固執した者は時代に着いてゆけず、ファンも離れていき、結局生き残れない。そして80年代に向けていよいよンバラの時代になるののだが、その萌芽は "Afro Latin Via Dakar" や "Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall / Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" からも聴き取れる。
(80年代に脱落した筆頭が Baobab なのだが、時代は巡って90年代末に Africando が登場、90年代末にはその Baobab が再結成して世界を席巻するという現象も興味深い。)
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"L'Orchestre N'Guewel de Dakar / Xadim" (Salsa Musique / Discafrique DARL 008, ? )
ンバラの未復刻音源もまだまだ残されていて、どなたかが「ラテンからンバラへ」といったテーマで文章を書いたり、音源をコンパイルするのも面白いだろうと考えている。N'Guewel de Dakar のこのセカンドもンバラの知られざる名盤の一枚。特に素晴らしいと思って愛聴している大きな理由のひとつは、ハイライフ・サウンドをたっぷり堪能できること。ダイナミックかつ柔らかなホーン・セクションのアンサンブルがとにかく素晴らしい。こんなハイライフとンバラのミックスなんて他にはないだろう。
ただこのアルバムを単独でリイシューすることは考えにくいことだろう。などと思っていくつか CD をチェックしてみたら、ファースト・アルバム "N'Gewel International de Dakar" (Soumbouya Musique DA 002) から1曲 'Laaga' が、コンピレーション "African Pearls 4 : Senegal - The Teranga Spirit" (Syllart 6131572) に収録されていた。ただし、残念ながらこのファーストにはセカンドほどの魅力は感じられない。
ところで、 "Idrissa Diop - Cheikh Tidiane Tall / Diamonoye Tiopite - L'epoque de L'evolution" のライナーノーツを読んで知ったことがまたひとつ。N'Gewel International de Dakar は Idy Diop らの Le Sahel から派生したグループだという。どおりでいいバンドな訳だ。やっぱりみんな繋がっている!
・Discography of L'Orchestre N'Guewel de Dakar
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