SUKIYAKI TOUR 2011 (12) : Day 3 - part IV

 スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドもいよいよ佳境。最終日、その大トリを務めるのはもちろんアマジーグ・カテブ Amazigh Kateb である。

 アマジーグはゲンブリとカルカベをプレイし、他はベース、ドラム、キーボード、DJという5人編成。ソロ・アルバム "Marchez Noir" の曲を中心に構成、グナワをベースに、ヒップホップやレゲエをミックスした、いかにも汎地中海ミクスチャーといったセット。誰もが彼のステージを待ちわびていたわけで、もちろん大盛り上がりとなった。

(スキヤキ日記も12本目、正直息切れしてきたし、そろそろ記憶も薄れ出した。何よりアマジーグに関しては3日後の東京公演のリポートが多数書かれるだろうから、ここでは軽めに済ませておこう。)

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 今日のヘリオスでは友人たち8人ほどで集い、ステージ真下に陣取ってかぶりつき状態で観ていた。始めのうちは、カウシキが終わったら後は後の方でのんびりライブを眺めようかと思っていたものの、カウシキが終わってもクアトロ・スキヤキ・ミニマルが終わっても誰も動かない。やっぱり皆アマジーグのステージを存分に楽しみたいのだな。そう思っていたら、アマジーグが登場するや、やはり場内総立ちで踊り始めた。

 カウシキは眼と耳と肌で震える声を堪能した。クアトロ・スキヤキ・ミニマルは期待した以上の興味深さで思わず頭も使う聴き方になった。それらに対して、アマジーグはやっぱり身体で楽しむ音楽だった。余計なことなど考えずに頭を軽くして、彼らの強いビートに身体を任せてしまうのが一番。そんな痛快で心地よいサウンドだった。アマジーグ本人も気持ち良さそうに全力で歌っていたようだ。

 先にも書いたことだけれど、グナワ・ワークショップの効果大で、アマジーグたちのリズムパターンの変化に自然と身体が反応している自分に気づくこともしばしば。

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(いや、「女子部」はボンビーノ以上に眼でも楽しんでいたようだ。アマジーグが一枚ずつ脱いで、早々に半裸、途中から腰ばき状態になってしまったものだから…。)

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(写真も「頭撮り」的に軽く撮影したのみ。あとはのんびりと音に浸っていた。)

 ただ、自分自身ちょっと集中力が足りなかっただろうか。問題のひとつはヘリオス屋内ではビールを買えないこと。カウシキのステージがあるので午前からアルコールをずっとガマンしていたのだが、そのカウシキが終わった後も外までビールを買いに出るのが面倒。もうひとつの理由は、今年のスキヤキがこれで終わってしまうのかという名残惜しさが頭の中を巡り始めたこと。アマジーグのステージがこのままずっと続いて欲しいと願うし、そろそろ終わってビールが呑みたくもあるしと、ふたつの思いが堂々巡りしてしまった。

(ただ、聴いていてアマジーグのサウンドに何かが足りないような感触もずっとあった。その答えは、24日の東京・代官山 UNIT でしっかり示されたのだった。)


♪♪

 ということで?、熱いライブが終わるなり、隣でご一緒していた音楽評論家の五十嵐正さんと外に繰り出して、スキヤキ特性生ビールで乾杯。目前では毎年恒例のフィナーレがすでに始まっている。様々な人種と楽器とダンスが入り乱れて、リズム豊かな爆音をまき散らす。こんな光景を眺めながらのビールがまた美味い。

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 次第に陽が傾く中、雰囲気のいい光景だなと思っていると、橋本委員長が声をかけてきた「いい眺めでしょ。でもいつまでもやっているので、どう終了させるかが難しいんです」と言いつつも、その顔はとても満足げだった。橋本さん、ニコラさん、そしてスタッフ、ボランティアのみなさん、どうもお疲れさまでした。


♪♪

 今年のスキヤキで印象的だったこと。

1. さほど大きくもない地方自治体が世界的なアーティストを集めて開催した奇跡的なフェスティバル
2. それでいて市民が協力し一緒に楽しむ夏祭り的な良さがある
3. 招かれたアーティスト達はそうした空気に感化されてか熱心なパフォーマンス
4. 主役アマジーグとともに、サカキマンゴーがすっかりスキヤキの顔となった
5. ワールドミュージック系のフェスが国内では皆無に等しいことを考えると、貴重なフェスで意義深い


♪♪

 知人、友人たちは、それぞれ東京、金沢などへと離れて行ったので、今夜は静かに呑むことに。ニコラやサカマンが紹介してくれた、国内外アーティストお気に入りの店「蔦」へ(小路にあるために地元の人に聞かなければ絶対場所が分からなかった)。ここが実に味も雰囲気も良い店だった。地元の食材を使った料理がどれも工夫の凝らされたものばかりで、素朴なんだけれど丁寧に作られている。おかげでお店の方と話していても暖かくなった。

 そのうち話が亡くなられたカンバセーションの芳賀社長のことになった。芳賀さんがいかにアーティストや関係者たちから愛されていたかについて伺う。カンバセーションの芳賀さんがいたからこそスキヤキが走り始めることができたとも聞く(思えばニコラと私を結びつけたのもカンバセーションだった)。芳賀さんが蒔いた種が福野でしっかり育っていると言って構わないのだろう。そしてそれがもっともっと大きくなって欲しいとも願う。スキヤキがどれだけ大きく成長するか、これからも見続けたい。

 たっぷり楽しんだ3日間だった。本当に良い音楽フェスだと思う。できれば来年もまた、スキヤキと蔦にやって来たいな。




 (2011.09.07 記)

 (続く/・・・カウシキのインタビューが残っているので、まだ終われない。





by desertjazz | 2011-08-21 23:04 | 音 - Festivals

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