雑感:建築に惹かれるこのごろ

 今年の個人的なテーマのひとつは京都と奈良。京都は最近だけでも4〜5回ほど訪れた。たまたまなのだが洛北〜上京区が多くなっていて、相国寺、北野天満宮、大徳寺などを散策。毎度35度近いの猛暑だったのだが、それでも境内に足を運んだ途端に幾分かだけ涼しく感じるのが不思議だった。敷地を囲む樹木のせいなのか、土がアスファルトで塞がれていないからなのか。そして建物の中に入ると暑さを感じなくなる。恐らくこれが日本の建築の秀でている点なのだろうか。院を尋ね枯山水庭園を前にして、床に腰を下し膝を崩す。石庭を眺めているだけで、頭の中がどんどん空白になっていく。そのことがただ心地よい。

 一方奈良の寺社に行く機会は今年は少ない。いや余りの暑さに萎えて無精しているだけとも言えるのだが。3年以内に奈良の主立ったところは訪ね尽くそうと思っているので、その中休み的に、亀井勝一郎『大和古寺風物誌』を読み返してみた。彼の文章はその若々しい感性が好きだったのだが、久し振りに接して、やはりいいなと思った。亀井は一日で一カ所しか訪れないようなことを書いていたが、これは自分のかつての京都訪問の方法と共通している。北海道から年に一度訪れていた頃も、朝早くに出かけていって人が増す午前中のうちに滞在を切り上げたものだった。

 チェコのプラハが歴史的建造物の宝庫であることを最近読んで知った。都市建設のための資金が潤沢ではなかったことが幸いして、過去千年間の様々な建築様式が保存されているという。そのことについてもっと知りたいと思い、書籍を探してみたのだが、どうも見つからない。そう言えば、ヨーロッパ経験の長い人に冬のプラハの素晴らしさを語る人が多い。「ヨーロッパの中でベスト」と断言する知人さえいた。十数年前にプラハに向けて旅立ったことがあるが、経由地パリに到着早々予定変更、結局それ以来チェコとは縁遠くなってしまっている。一生行く機会はないのかも知れない。

 プラハの建築に関する本がないので、何となくガウディに関する本を今何冊か読んでいる。その間偶然にもサグラダ・ファミリアの写真や映像を眼にする機会が多い。それらを見て思ったのは、5年ほど前に訪れた時よりもすいぶん片付いているということだ。バルセロナに屹立するこの巨大建築で記憶に残っているのは、内部も乱雑なままのまるで建築現場のようだったということ。そんな折、「サグラダ・ファミリアが、あと15〜17年で建設工事が完了」と報じられた()。完成・お披露目が20年先だとして、もしその頃まだ自分が元気だったら、その姿を拝んでみたいものだと思う。





by desertjazz | 2011-09-21 20:00 | 建 - Architect.

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