読書メモ:カズオ・イシグロ

 昨日『充たされざる者』を読んでいて、カズオ・イシグロ自身でさえ、話の順を正しく思い出せないのではないかと、ふと思った。

 大野和基によるインタビュー中の村上春樹についてのイシグロの発言。

「彼(村上春樹)のもう一つ特異なところは、国を超えたスタイルで書くだけでなく、リアリズムの外側で書いているということです。現時点で、世界中の作家をみても、所謂リアリズムのモードの外で書いてうまくいっている作家はそれほど多くいません。もし、村上春樹ほど洗練された書き手がいれば、人はすぐに気づきます、コロンビアの作家である、ガブリエル・ガルシア=マルケスのような作家がそうです。このような作家は非常に稀有です。リアリズムの外で、人が理解できるように書けるということは非常に稀なことです。この百年間をみても、この書き方で成功している作家で思いつく作家はそれほど多くありません。フランツ・カフカとかサミュエル・ベケットとか、ガルシア=マルケスとか。本当に稀有なことですよ。だから村上春樹が世界中で人気があるのだと思います。」

 自分は若い頃、数学や物理の専門書、あるいはノンフィクションばかり読んでいたせいか、非現実的なフィクションが苦手。だからカフカを読んで面白いとは思わないし、村上春樹もよく理解できない。なのにガルシア=マルケスやカズオ・イシグロは最初から楽しめたのはというのは、考えてみると妙なことだ。

 今日は仕事が忙しく、ほとんど進まず。

/3日目 〜P.256





by desertjazz | 2011-11-15 22:00 | 本 - Readings

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