2012年 07月 30日
読書メモ:Chimamanda Ngozi Adichie, Julian Barnes

北海道帰省中に読み終えたのは、チママンダ・ンゴズィ・アディーチェの新作『明日は遠すぎて』と Julian Barnes の最新作 "The Sense of an Ending" の2冊。
アディーチェの『明日は遠すぎて』は彼女の第2短編集。とは言ってもこれは日本版での数え方で、『アメリカにいる、きみ』未収録の "The Thing Around Your Neck" の6篇に、新作3篇を加えたもの。"The Thing Around Your Neck" で苦しんだ作品や、単行本化されていない作品も容易に読める、日本独自編集を実現された、くぼたのぞみさんには大感謝!
アディーチェの作品はナイジェリア(や渡米/渡英したナイジェリア人)の上流階級社会が舞台になることが多い。一面彼らの生活は華麗に映りながらも、そのいびつな面や傷深い悩みなどを見事に活写しているように思う。その一方で、底辺で生きる人々まで視座に入れた作品を生み出し続けてもいる。一見どちらも自分の生きる世界とは無縁なようでありながら、そこに内包された苦しみがひしひしと感染してくるのだ。読むごとに引き込まれ、共感されられる。大した書き手だと思う。
アフリカ音楽ファンなら誰でもが知っている(?)Prince Nico Mbarga の有名曲 'Sweet Mother' がエンディングで効果的に使われている作品もあり。
最後に収められた「がんこな歴史家」や訳者のあとがきから類推されるのは、 彼女が "Half of a Yellow Sun" で見事に書き切った60年代のビアフラ戦争よりずっと遡ったナイジェリアの歴史絵巻を構想しているのではないだろうかということ。次なる長編を心待ちにしたい。

英語は大の苦手ながらアディーチェは毎作頑張って読んでいる。けれども1作目の長編 "Purple Hibiscus" は歯が立たなかったので、邦訳を熱望!!
アディーチェの代表作 "Half of a Yellow Sun"(邦題:『半分のぼった黄色い太陽』)の映画化が進んでおり、先日ナイジェリアでのロケが完了したと報じられた。公開は来年の予定。是非とも日本でも上映して欲しい。音楽は同じナイジェリア出身の Keziah Jones らが担当していると伝えられている。
>>> afripop
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2011年のブッカー賞を獲得した "The Sense of an Ending" の方も自分の英語力ではよくわからず。なので、もう一度最初から読み始めている。それというのも、詩的な文章/文体が好きになれそうだったから。
この小説、Rolling Stones の曲のフレーズが度々引用される。そんなところにもちょっと興味あり。
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(2012.07.31 整理/記)