Movie "Bob Marley - Roots of Legend"

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 昨夜、渋谷の地下路を歩いていたら金沢の KY さんとばったり遭遇。誘われて一緒に映画『ボブ・マーリー/ルーツ・オブ・レジェンド』を観てきた。公開期間が短かく見逃してしまいそうだったので、これは絶好のタイミングだった。

 遺族や関係者の証言にボブのインタビューやステージの映像をはさみながらの約2時間半で、彼の生涯が時系列に振り返られている。その内容については多くの方々が書かれていると思うので、レゲエに詳しくない音楽ファンとしての感想を2つほど(証言記録映画は好みじゃないこともあり、2時間半はやっぱり長い。このところ睡眠4時間が続いていたので、しばしば寝落ちしてしまった)。

 ボブ・マーリー Bob Marley と彼の音楽のことをよく知らない人にとっても分かりやすい映画だったかと思う。マーリーの人柄と彼が生み出したが音楽の魅力がしっかり伝わってくる作りになっている。相当に女性からもてたそうだけれど、こうして彼の笑顔や寂しげな表情を見せられると、確かに多くの女性にとってはたまらない存在でもあったことだろう。

 けれども、一見艶やかなスーパースター像の影の部分が印象に残った。白人と黒人のハーフとして生まれ(しかも父親は失踪)周囲からは仲間はずれにされ、ジャマイカの政争に巻き込まれ(銃撃も受けた)、晩年には難病に苦しみ、若くして死す。実は苦しみに満ちた短い生涯だったのだな。7人の女性との間に1人の子供などと聞かされると、楽しんだ人生だったんだなとも思うが、36年という生涯は余りにも短い(ちょっとジョン・レノンと二重写しになった。途中、ジンバブウェの独立式典で初代大統領のロバート・ムガベ Robert Gabriel Mugabe が映されるのだけれど、こいつは長生きして独裁的にその地位にふんぞり返り続けている。同じロバートなのに何という違いだろう)。

 個人的にとても納得したのはラストのプロローグの作りだった。トルコ、イラン、アンゴラ、インド、ブラジル、日本、等々で 'One Love' などを歌う大衆の映像が繋がれていく(隅にインポーズされた国旗を追っていったけれど、ひとつだけどこか分からなかった)。ボブ・マーリーがいかに世界中の人々から愛され、そして今も愛され続けているかということを見事に描いていると思う。これって実にリアリティーがあるんだよな。

 自分は音楽が好きなので、世界中どこに行ってもローカルなカセット/CDショップを訪ね歩く。その度に驚かされるのは、ほとんど必ずボブ・マーリーが置かれていて、しかも店頭で彼の音楽が流されていることの多いこと。例えば、タイ・プーケットやインドネシア・バリ島のビーチのカセットショップ、あるいはダカールやカンパラのカセットショップでそうだった。他のアフリカに限っても、ジンバブウェのハラレやブラワヨ、コンゴのキンシャサ、ナイジェリアのレゴスやポートハーコート、そしてエチオピアのアジスアベバでも、店に入るごとにマーリーのカセットなどがすぐに目に入ってきたのではなかっただろうか(さすがに記憶が曖昧で、どこまで正確かは自信がないのだが)。

 考えて見ると、ボブ・マーリーがインターナショナルに活躍したのは、ほぼ70年代の10年間に限定される(60年代のビートルズに匹敵するのでは?)。それなのにいまだに世界中のミュージックショップの基本アイテムであり続けているというのは、ほとんど奇跡的なことだろう。その時々のヒット曲ならばまだ当然だけれど、亡くなった後も世界中の店先でプレイされ続けているのだから。このような存在のミュージシャンはボブ・マーリーの他には思い浮かばない。商品の大半が海賊版コピーなのはいかがなものかとは思うが、それでもこれはこれで、それだけボブ・マーリーが世界中から愛されているひとつの証といえるのだろう。





by desertjazz | 2012-09-11 20:40 | Sound - Music

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