New Disc : Zebda "Plan D'Occupation Du Sol"

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 長年音楽を聴いていると、至福の瞬間に出会うことがときどきある。9年前、フランス西部のアングレームでゼブダ Zebda のライブを観たことも、そうした稀なひとときのひとつだ。

 4日間にわたって開催された Festival Musique Metisse の大トリで登場したのがゼブダ。何と深夜に至るまで2時間の熱いステージを展開した。特にラストに演奏した 'Tomber La Chemise' の素晴らしかったこと。恥ずかしながらこのときまではゼブダがこれほどずば抜けた存在だとは知らなかった。アングレームで観たのとほぼ同内容のライブは傑作アルバム "La Tawa" (CD+DVD) でも楽しめるのだけれど、彼らのパフォーマンス自体はアングレームで観たものの方がさらに良かった(言わずもながらだが、観客の盛り上がりに限ってはバルセロナで収録された "La Tawa" の方に軍配あり)。

 何とも凄いものを観てしまったなぁ、と興奮しながらバックステージに駈けていったら、運良くフロントの Mouss と Hakim の2人に会えた。ちょうどTシャツを脱いで雑巾絞りしているところで、信じられないくらいの水が絞り出されている。どんだけ汗流したんだ!? その時2人して満足げな笑顔を向けてくれたのだけれど、あの顔は一生忘れられない。彼ら自身が最高のステージを成し遂げた充実感に満ちていているようだった。その時カメラを手にしていたのだけれど、彼らとアイコンタクトしたり軽く言葉を交わしたりする以外は余計に思えて、結局1枚も撮らなかった。

 知っての通り、その直後ゼブダは活動停止する。あれだけの音楽を生み出しながらも何故と不思議でならなかった。その分だけあの時に良い体験ができたと思うし、ゼブダが最高の時期のライブを実体験できたことはいまだに人から羨ましがられている。

 あれから9年、アンチ・サルコジを旗印にゼブダは再始動し、新作 "Second Tour" も送り届けてくれた。これがゼブダのファンにとっては最高の内容。どこかのタイミングで彼らの復活ライブを観たいものだとも思っていたら、その最新ライブのサウンドがネット上で試聴できるようになった。

 この音源、よく調べて見ると"Plan D'Occupation Du Sol" と題されて8月20日にすでに公式リリースされている。スリーブの雰囲気から勝手にアンオフィシャルな音源だと勘違いしてしまっていた。タイトルは『土地の占領計画』(とでも訳すか?)。相変らず意味深で強いタイトルだ。

 さてその内容、最新スタジオ盤のキラーチューン 'Le Dimanche Autour De L'Eglise'、3作目冒頭の 'Y'A Pas D'Arrangement' に始まって、ラス前には 'Toulouse'、そして最大のヒット 'Tomber La Chemise' へ流れ込む活動休止前と変わらぬお約束のエンディング。正しく彼らの代表曲、ヒット曲がずらっと連なる圧巻の構成となっている。活動休止していたブランクを全く感じさせないサウンドだ。

 復帰後続いているツアーも多分このアルバムの流れに沿ったステージングなのではないだろうか。実は10月12日にパリのゼニス Zenith で行われるコンサートがずっと気になっている。恐らくこれが彼らにとって今年のハイライトとなるだろう。やっぱりこれを観に行くべきだっただろうか?






by desertjazz | 2012-09-17 19:00 | 音 - Music
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