2012年 11月 23日
<MM13> Chaabi Legand - Fatna Bent L'Houcine
2年前のモロッコ旅行の際、マラケシュの CD 店でハジャ・ハムダウィア Hajjda Hamdaouia の "Mnin Ana O Mnin Anta" をジャケ買いし、日本に帰ってからもよく聴いた。彼女は「モロッコ独立時に国民の声を代弁するような歌を歌い慕われたベテラン女性歌手」だそう(参考)。
そして今回再訪問したマラケシュで同様なスタイルの歌い手はいないものかと探して見つけたのが、ファトナ・ベント・ルホウスィン Fatna Bent L'Houcine の CD "La Legende" だ。
・ Fatna Bent El Houssin "La Legende" (AMD 6111245623009, 2012)
ファトナ・ベント・ルホウスィン (1935 - 2005) はシャービの最も古いスタイルのひとつであるアライタ Al'aita を代表する女性歌手で、とても人気が高かったらしい。彼女自身が演奏している?ベンディール、ダフ、ヴァイオリンに時折女声コーラスやカヌーンやウードも加わる。素朴で地味な古いスタイルのシャービだけれど、力強い歌声に聴き惚れる。本当に素晴らしい。ハジャ・ハムダウィアも良かったけれど、ファトナはさらにいいんじゃないだろうか。この CD は出た直後らしく、これを手に入れることができたのは幸運だった(エディットに欠点もあるが、録音自体はかなりいい)。
ファトナをアルジェリアの歌い手で喩えるならリミティー Cheikha Rimitti のような存在と言えるだろう。演奏スタイルといい渋い歌声といい、互いに似たもの同士。そして彼女を思いっきり派手に厚化粧すると(見た目じゃなくて、アレンジのことね)ナジャット・アタブー Najat Atabou になる?
今、モロッコ音楽を集中的にいろいろ聴き続けているが、Abderahim Souiri のような芳醇なアラブ・アンダルース音楽や、Houcine Slaoui や Fatna Bent L'Houcine のような原初型シャービが、どうやら個人的には一番の好みのようだ。
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