2013年 01月 19日
読書メモ:いとうせいこう「想像ラジオ」
いとうせいこう「想像ラジオ」(文藝2013春号)読了。ささやかな理由で読んだこの中編、いとうせいこう16年振り小説だとのこと。何ら予備知識なしに読み始めたら、午前2時36分(46分ではない)に始まるストーリーにもしやと思う。そして、少しずつその通りの種明かしがなされていく。『3月の水』など、仕掛けの数々も上手いな。P.55 の神への叫び(ほとんど慟哭)の凄まじいこと。Sとあるのは著者の実体験か? なにより「想像」することに担わせた意味。想像すれば声が聞こえる? 大震災後、このような悼み方もあるのかと感じた。
文藝の特集でちょっと惹かれたのは、彼が選んだ10冊(いとうせいこうを作った「言葉」)と10枚(いとうせいこうを作った「音」)。レーモン・ルーセル『アフリカの印象』、ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』、オルハン・パムク『無垢の博物館』、そして土取利行の CD が入っている。個人的な趣味と重なるなぁ。土取利行の『壁画洞窟の音』(青土社)をちゃんと読んでいなかったことも思い出す。
(追記:これだけ挙げるとひねくれ者か変わり者に映るかも。いえ、10作/10枚、全体としては全うなセレクションです。もちろん Nusrad Fateh Ali Khan の "En Concert a Paris" も入っている、… と書いても若い人には意味不明かな?)
現在、星野智幸との「対談」を読んでいる。その後の陣野俊史による「インタビュー」も楽しみ。
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