村上春樹『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』からの雑感(1)

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「なんだか同じようなこと、いろいろ書かれているわよ」
 そう言って手渡されたのは村上春樹が昨年出したエッセイ集『サラダ好きのライオン 村上ラヂオ3』だった。

 パラパラめくってみると、昨年読んだ本の中で最高に面白かったポール・セロ―の旅行記『ダーク・スター・サファリ』が紹介されていたり、日頃自分が口にしているのとそっくりなことが書かれたりしている。村上とオレ、やっぱり似てる、と勝手に思ったり。

 何より似ていると指摘されたのは、旅のスタイルの類似点。村上は着古したシャツをたくさん持っていって着た順に捨てていくという。

「僕は常日頃から、外国旅行に持っていくための服を用意している。旅行の途中で捨てていける服のことです。Tシャツや靴下や下着で、「これはもういらないかも」と思うものを、まとめて持っていく。そして着ては、片端から捨てていく。洗濯の手間も省けるし、荷物も減っていくし、一挙両得です。」(「さあ、旅に出よう」P.114)

 確かに私も10泊程度までの短期の旅ならば、日数分の下着を持っていくことが多い。一日三度もTシャツを着替えるような熱帯での休暇ならば、毎日せっせと洗濯する。日差しが強いのでわずか数時間で干物のように見事に乾くしね。けれど、湿度の高い土地や冬の旅では洗濯物がなかなか乾いてくれない。寝る暇もないほど予定の詰まった旅だと洗濯する暇すら惜しい。ならば必要なだけ持っていくしかない。

 そこで日頃から古着をストックすることを考えた。自宅のタンスを開くと、裂けたシャツや穴の開きかけた靴下などがたくさん。タンスの中の半分くらいはそんな寿命をまっとうしたボロギレ寸前のものが占めていんじゃないだろうか。旅にはそんな下着や服ばかり持って行って、着た順に捨てていく。旅が進むにつれ、毎日カバンやスーツケースの中から衣類が少なくなっていくのは快感です。

 そして帰りには、カバンの中味はほとんど空っぽで、楽チン楽チン!

 ・・・かと言うとそうはならない。村上の場合は中古レコード店を見つける度にジャズのレコードを大量に買ってしまうという。私も旅先でレコードやCDをどっさり買い込むので、帰りの荷物は出発前よりも遥かに多くなってしまう。こんなところも一緒だなぁと苦笑してしまった。


(つづく)






by desertjazz | 2013-02-11 00:00 | 本 - Readings

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