2013年 03月 13日
読書メモ:今年読む本(6)
今年読み切りたい本がもう2冊。どちらも昨年買ってから放置状態だった。
・細川周平 編著『民謡からみた世界音楽 ― うたの地脈を探る』(ミネルヴァ書房)
約1年前に出て話題になった研究書。それを最近ようやく読み始めた。「民謡」という共通語のもとに集められた全23章。扱うテーマがとても多岐にわたり、やや強引に束ねられた印象もある。だからなのか、最初の数章を読んだだけでもう興味津々。ブルース(憂鬱)誕生の新たな可能性を示唆する大和田俊之の「憂鬱の系譜」からして面白すぎる。それぞれより長い論考を読んでみたくもなる。「人間にとって歌とは」という、かねてからの自身のテーマに繋がるヒントも多そう。
・川口幸也『アフリカの同時代美術―複数の「かたり」の共存は可能か―』(明石書店)
アフリカの現代美術に対しては発展段階的な中途半端さしか感じていなかった。かつてニューヨークなどでアフリカ美術館を巡ったときの印象も同様。しかし『エル・アナツイ展』を見て、その印象が打ち崩された。アフリカにおける現代美術はどのようにして深まっていったのか、エル・アナツイに匹敵する存在は生まれているのか、といったあたりが個人的興味。
・イライザ・グリズウォルド『北緯10度線 ─ キリスト教とイスラームの「断層」』
・坂井信三『イスラームと商業の歴史人類学―西アフリカの交易と知識のネットワーク』
・砂野幸稔『ポストコロニアル国家と言語―フランス語公用語国セネガルの言語と社会』
アフリカにおけるイスラムの関係性に関心があって、こうした本も手に入れたものの、読む時間が取れない(『北緯10度線 』はマレーシアのイスラム問題の項にも興味があったのだが、いかんせん文章が頭に入ってこない。訳文のせいだろうか?)。イスラム情勢についてはリアルタイムでの動きが早すぎて、それらを追うことすら困難。なので、さすがにこれら3冊までは手が回らないだろう。
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小説などを除くと、年内にじっくり読めそうなのは、取りあえずこの程度かなぁ。いずれにしても、アフリカ・音楽・美術が、今年も読書の大きなテーマであり続けるのだろう。
このところ本についてばかり書いているが、4月には村上春樹の新作(長編)が出るし、現在『LA ヴァイス』の映画制作が進んでいるピンチョンの新作についても報じられた(9.11前の状況という時代設定?)。さらに『昼の家、夜の家』で出会ったポーランドの女性作家オルガ・トカルチュクの『逃亡派(BIEGUNI)』も年内刊行予定らしい。小説に関しても、これからも楽しみな出版が続きそうだ。
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