2013年 03月 22日
Christine Salem / Salem Tradition (1)
Christine はその歌声通り、野性的な印象の女性だった。何と言っても眼力がすごい(インタビューのメモはまだ出てこないのだけれど、その時の録音は残っているはず)。エル・スールの原田店主の解説によると「レユニオン島の首都サン・ドニの貧民街カメリア地区の出身で12歳からブルースを英語で歌っていた」そうで、強烈なタフネスさを感じたことに今頃納得。
ステージではカヤンブを豊かにスウィングさせて熱唱。
マロヤはプランテーション農場の労働者たちの歌と言われる。彼女が率いた Salem Tradition の音楽は、そのマロヤにコモロ諸島やマダガスカル、東アフリカのリズムを融合させたものだとのこと。(この時のメモには、Christine はコモロ出身とあるけれど、これは間違いか?)
Salem Tradition のサウンドは6/8拍子のビートが魅力のひとつ。ライブでは竹を打つ3拍のビートが際立っていたようにメモされている。そのメモには「意外と踊りにくい」とも。確かに異邦人が踊るには複雑な多重リズムかも。
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余談: 旅行日記を読み直して、この10月28日は大変な1日だったことが脳裏に蘇ってきた。
・15時、マルセイユ市の中央部、鉄道駅の先の教会手前にあるホテルで Christine Salem のインタビュー。
・Cheb Mami のリハーサルを観るために、大急ぎで Fiesta des Suds の会場へ取って返す。交渉すると、すんなりバックステージでマミ本人にも会えることになった。しかし、いくら待ってもマミは姿を見せず、サウンドチェックが始まらない。ようやく伝えられたのは、「Mami に今ポリスがからむトラブルが起きて会場に来られない」という一言だけ。フェス関係者も状況が掴めていないらしい(その詳細は後日報じられた通り)。
・諦めて一旦会場を離れて食事。
・19時50分、会場に戻る。
・21時30分、Salem Tradition のステージ。
・23時、Cheb Mami の代役に急遽呼ばれた(ツアー中で、グルノーブルからだったかな?)Susheela Raman のライブ。
・24時、Bar Barthaber に移動して、MicMac 主催のイベントへ。Manu Theron/Lo Cor de la Plana の妹分8人組ポリフォニー Original'Occitana のライブ。オクシタンミュージック関係者たちと歓談。
・26時、シリア料理店でのライブに行くか迷ったが、疲れたのでさすがにこれはパス。
・ホテルに帰ると、ステージを終えた Susheela Raman が、ちょうどチェクインしている最中。こんな深夜に彼女自らが手続きしていた。「今日は大変な一日でしたね」と声をかけると「慣れたことよ」と貫禄を示す。
このフランス滞在2週間も連日こんな調子だった。自分にも幾分か若さが残っていて、まだ体力があったんだなと思う。パリではイスラエルの Idan Raichel にインタビューしたり、Konono No.1 のライブでは本番最中にもかかわらずリーダーのオヤジがステージを抜け出して、隣のカフェで休んでいるところに話かけてきて雑談したりと、毎日とても充実していた。思い出すだけで涙がこぼれそうなくらい楽しかった。こんな旅、今ではもう無理かなぁ。
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