2013年 04月 12日
読書メモ:村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』
本日発売になった村上春樹の新作/長編小説『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読了。
初版50万部というだけあって、どこの書店も山積み販売。1冊レジの持っていくと、あらかじめブックカバーをかけた本と即座に交換。なんとも準備の良いこと。
いつも通り読書メモを綴っておきたいところ(実際感想はいくらでも浮かんでくる)。けれども、これから読む人がほとんどだと思うので、じっと我慢し、しばらくの間は一切コメントしません。読書メモ本文は後日アップすることにします。
(・・・ということで、非公開メモ中。)
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と言いながら、ひとことだけ。
あまりに村上春樹っぽすぎ。これホントに本人が書いたの?
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軽く雑記
・自身の過去の作品の様々な要素をパッチワークしたかのような作品。そのどれもに使い古された感がある。
・登場人物たちの名前はいかにも村上春樹的だが、その設定が安易に感じられる。タイトルにも親しめない。
・話の展開にも無理がある。それも良い頃の作品にあったような、誰も真似出来ないような突き抜けた重く深い非現実性ではなく、単に現実味がないだけ。なので作品に込められた主題について考えようという気が湧かない。
・最後の一文はデビュー作を想起させる。原点回帰、あるいは村上の本質は変わっていないとも解釈できるが、平凡すぎる。
・主人公がまるで自分のことを語っているように、読み手に思わせるところは相変らず巧い。
・今回も酒を飲む描写が頻出してくるが、過去の作品と比較すると圧倒的に物足りない。
・ジョークやセックス描写もいかにも村上らしい。が、かなり凡庸。
・倒錯した性や6本指などを織り込むこともありがちな手法(マルセル・プルースト+サンティアーゴ・バハーレス的?)。
・フィンランドはノルウェーの二番煎じ? それともヘルシンキへ路線開始する JAL / AGORA への気配り?(とは考え過ぎか?)
・総じて言えば、村上春樹自身によるセルフパロディのような小説。余りに村上春樹的なので、思わず本当に本人が書いているのか疑ってしまった。
・これは箸休め的に書いた作品なのだろうか? 本気でノーベル賞を狙っているなら損な作品だと思う。それとも諦めた?
・確かに他のほとんどの小説家よりも面白いし、読みやすくて、どんどん進む。感じさせるところも多いのだけれど…。
・これまでとは全く違った作品を書いて欲しかったし、読みたかった。個人的には『1Q84』はダメだったが、今回はそれより遥かにダメ。もう才能が枯渇してしまったのだろうか?
・最近もエッセイや対談集は抜群に面白かったのに。村上信奉者を喜ばせるだけの本なのではないだろうか? 前作以上に賛否分かれることは間違いない。
(続く?)
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