2013年 05月 12日
Oliver Mtukudzi | Bio & Discs (5) Black Spirits in 70s
Jimmie (Pagedhi) Austion : Drums
Joseph Alpheus : Bass
Robert Mtukudzi (Silent Shooter) : Rhythm Guitar
Bartholomew (Gushungo) Chirenda : Lead Guitar
Oliver Mtukudzi : Vocal
1977年の9月20日まで約2ヶ月演奏してきたナイトクラブとの契約を結んだその夜に、Robert の発案でバンド名を変更したそうだ(Robert は Oliver の弟)。1977年といえば、まだ白人政権に支配されていたローデシアの時代。1980年5月15日に達成されるジンバブウェ独立、黒人国家成立に向けて、後の大統領ロバート・ムガベを中心とした独立運動が活発な頃だった。Black Spirits という名前には、その頃高揚しピークに達しつつあった黒人意識が強く反映されているのだろう。実際この名前は大衆からの受けが良く、バンドへの人気も高まっていったらしい。
オリヴァー・ムトゥクジもこう語っている。「70年代、私の音楽はすべて闘争とともにあった。私は政治家ではないが、曲を書くことでブッシュの少年たち(戦士たちのことか?)にメッセージを送ろうとし続けた。クレヴァーな詩を書くよう努めたが、そのことは闘いに影響があったと思う。ブッシュで闘う人々に、闘う理由を伝えられたのだから。」
そんなオリヴァーたちが Black Spiritis として臨んだレコーディング。彼らが最初に録音しリリースしたシングルは 'Ndiri Bofu' であることを示唆する記述があったが、これは定かではない。
やがてファーストアルバムが完成。1978年3月に "Ndipeiwo Zano" をリリースする。
1. Oliver Mtukudzi & the Black Spirits "Ndipeiwo Zano" (Hudzanayi BC 151, 1978)
A : (1) Ndipeiwo Zano 2:55 (2) Gunguwo 3:07 (3) Nherera 2:32 (4) Mai Maondeiko 3:06 (5) Ziwere 2:56 (6) Bganyamakaka 3:15
B : (1) Pamusoroi 2:59 (2) Tibvumbamirei 3:12 (3) Uyai Mundione 3:13 (4) Chipatapata 3:11 (5) Ndiri Bofu 2:47 (6) Zivai Nemwoyo 3:35
タイトル曲のように南アのタウンシップ風味の強いナンバーと、'Gunguwo' のようなンビーラのパッセージを移植したようなショナらいしいナンバーとが、ほど良く配された名盤。エレキギターとハイハットとのコンビネーションが気持ちいい。オリヴァーの歌も力強く、すでに貫禄すら感じさせる。このファーストの時点で彼らのサウンドは完成していると言ってよいだろう。
このアルバムは2000年にCDリイシューされた。そのためか、ネットで検索すれば試聴可能。タイトル曲は YouTube にアップされている(便利な時代になったものだ…)。
・ YouTube | Ndipeiwo Zano
翌1979年にはセカンドアルバムをリリース(発売日は 1979年5月28日とクレジットされている)。
2. Oliver and the Black Spirits "Chokwadi Chichabuda" (Hudzanayi BC 179, 1979)
A : (1) Chokwadi Chichabuda (2) Shingirira (3) Ndodiniko (4) Maideyi (5) Mwana Wamambo (6) Gudo Guru
B : (1) Rugare (2) Ndinotenda (3) Ngatinamate (4) Vara Dena (5) Kugarika (6) Ndakatadza
注目すべき点は、この頃の Black Spirits をウエスト・ンコシ West Nkosi がプロデュースしていること。ウエスト・ンコシと言えば、南アを代表する大物プロデューサー。マハラティーニ Mahlathini and the Mahotella Queens のバックバンドの元メンバーで、そのプロデュースも務めた。
このことはオリヴァーたちが南アのサウンドを指向していた顕われだろうか。それともそう珍しいことではなかったのだろうか。当時ジンバブウェ(ローデシア)、南アそれぞれの音楽シーン/マーケットはひと連なりで、例えばジンバブウェのミュージシャンがヨハネスブルグなどでレコーディングすることも度々だった。ンコシは1000を超える作品をプロデュースしたとも言われている。
いずれにしてもオリヴァーたちは最初の頃から南アの音楽界と太い繋がりを持っていて、サウンドスタイルの面でも強く影響を受けたことは確かだろう。セカンドアルバム収録曲のうち、エレピ?の加わる 'Shingirira'、'Ndodiniko' などの演奏は明るくスウィングし、まるで南アのタウンシップジャズ風のものだ('Ndodiniko' はンコシの作った曲でもある)。
同じ1979年にはもう1枚アルバムを制作している。
3. Oliver Mtukudzi & Black Spirits "Muroyi Ndiani" (Kudzanayi BL 229, 1979)
このアルバムは所有しておらず、未聴(1980年のリリースかもしれない)。
70年代末の時点で彼らの人気はうなぎ上りで、ザンビア、ボツワナ、マラウィといった周辺国でのツアーも成功させる。そして80年代、彼らは怒濤のリリースラッシュ、Tuku レーベルの開始、さらには世界進出へと進んでいくことになる。
(つづく)
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