2013年 06月 05日
Fever Pitch
頭上で轟音が響き渡る。波のごとく押し寄せ、過ぎ去ったかと思うとまたやってくる。どこかでテレビを爆音で鳴らしているかのような不自然な響き方。暴動か? 革命か? 一体何が起こっているのか分からず、しばし戸惑う。ホテルを出て見上げると、目の前の巨大なすり鉢から音の塊が溢れ出し、天に向かって迸っていた。サッカースタジアムが吐き出す叫びとどよめきは人間が生み出したものとは思えなかった。
2002年2月 Dakar, Senegal
サンダガマーケットから伸びるメインストリートを歩いていた時のこと。突然の騒ぎ。振り返ると、通りがかったタクシーに若者たちが殺到し取り囲んで殺気だっている。「誰だ?」と問うと、「セネガルの有名なサッカー選手だ」と返す。タクシーの中を覗くと、デューフらしき男が座っていた。
2002年5月 Seoul, Korea
日韓W杯開幕戦、フランス対セネガル。その直前、日本で「観たいよね」と語り合ったサンカークレイズたちの、一体何人とソウルで会ったことか。みんなすでにチケットを手に入れていたのに、そのことを話せず隠していたのだった。自分も人のことを咎められない。結局この時は韓国を2往復したのだった。
2002年6月 Gwangju, Korea
光州ワールドカップ競技場でのイタリア対韓国戦。周囲は全て地元民という中で、イタリアの先制ゴールに大喜び! と思ったら何故かノーゴール。結局、PK戦で韓国の勝ちとなり、逃げるように外に出た。団地の窓という窓から国旗が振られ、街一面が真っ赤に染まっていた。(韓国では3試合観たが、運営もマナーも本当に酷かった。試合そのものも大いに不満。)
2005年5月 Lisbon, Portugal
夕飯を終えて外に出ると、旗をかざし叫びながら車が次々と駆け抜けていく。地元フットボールチームが今日の試合に勝利し、リーグ優勝がほぼ確定したことの祝祭だった。その夜、どこの飲み屋もそのチームカラーをまとったファンで溢れ、とても楽しい雰囲気に包まれていた。
2010年4月 Shanghai, China
普段は大人しい同僚が食事中もそわそわしている。そのうちに突然消えて、深夜になってもホテルに帰ってこない。翌朝無事に姿を見せると、「国内リーグ戦を観てきた」という。自分もアフリカからロンドンやパリに戻った瞬間、試合の有無を調べるので、人のことは笑えない。
フットボールは人を酔わせる。(いや、狂わせる?)
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昨日6月4日は日本がW杯ブラジル大会への出場を決めた日。
だが、個人的には天安門事件から24年ということで気の重い一日だった。いろいろなことを思い出す。
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