2013年 10月 15日
New Book : Tony Allen + M. E. Veal "Tony Allen : An Autobiography of the Master Drummer of Afrobeat"

今日 10月15日はフェラ・クティ生誕75周年の記念日。だからでもないが、先月末に出版されたトニー・アレンの自伝本 Tony Allen with Michael E. Veal "Tony Allen : An Autobiography of the Master Drummer of Afrobeat" が一昨日(13日)に届いたので、早速読んでいる。
最初にマイケル・ヴィールが Intorduction で、15年にわたってフェラのバンドのドラマーを務め、その後もあらゆるミュージシャンたちと共演し、クラブ方面からも熱い支持を得ているトニーについて紹介しながら、興味深いことをいろいろ書いている。
なんでもこの自伝の企画は、トニー本人がマイケルに手助けを求めたことから実現したそう。そのマイケルが 2004〜2011年に主にパリのトニーの自宅で聞いた内容を取りまとめたようだ。マイケル自身もナイジェリア系であり(アメリカ在住)、フェラ・クティ研究書の決定版を著し、アフロビート/ジャズのプレイヤー(ベース、サックス)でもあるので、トニーの経歴の聞き役としては打ってつけだろう。(その過程で、トニーがナイジェリア料理の優れた作り手であることにも気がついたそう。だから "Home Cooking" なんていう名盤も生まれたのだろうか?)
Introduction では、ドラム奏者の伝記が少なく、トニーもフェラの影に隠れがちだが、トニーの存在なくしてフェラの音楽がこれほどのものにはなり得なかったことをまず強調。トニーがバンドに在籍した78年までの「トニー時代」と「トニー後時代」とを比べてみれば、それは明らか、といったことも書かれている。
トニーのドラムスタイルの変遷や特徴についても、ガイ・ウォーレン、レゲエ、パーラメンツ/ファンカデリックなどを引き合いに出して紹介。ハイライフのドラムスタイルから脱却したのには、ハイハットの多用がポイントであること、モダンジャズからの影響が大きいことなどを指摘している。
Introduction の終わりの方では、人種問題が拡大しているパリの現状と、そこでのトニーの暮らしについても触れているが、アフリカン・アメリカンであるマイケルにとってはなおさら看過できないことなのだろう。
トニーが語る自分史の部分は、彼のピジン・イングリッシュも混じった語りをマイケルがリライトしている助けもあってサクサク進む(高一程度の英語レベルかな?)。英語が得意な人なら一晩で読み切れるだろう(写真部分を除いて200ページ弱)。ユーモア溢れるエピソードも交えながら、フェラとのKoola Lobitos 時代とAfrica 70 時代も含めて自身のドラム史をたっぷり語っている。
写真も約30ページほど掲載されていて、これらを眺めているだけでも楽しい。(だが、その中にフェラの写真は一葉もない。その意味は…。徹底しているなぁ。)
BGM は60年代のガーナのハイライフ(E.T.Mensah, Ramblers, Stargazers, Uhurus などが度々登場するので、当時のハイライフ・シーンについて知り、その雰囲気を感じる上でも役に立つ)や、渡米以前のフェラ・クティなど。他にも何冊か併読中なので、まだ4割くらいのところ。Twitter と FB にメモしならが読み進めているので、読み終えたところで改めて整理してみようかと思う。
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