2013年 11月 23日
Joseph Mallord William Turner (2) : Venice

「フィレンツェとベネチアとマドリッドにはいつか行こう」そう決意したのは、E・H・ゴンブリッチ『美術の物語』を読んだ昨年の春だった。そして読了直後の4月にもうマドリッドに飛んでいた。( Madrid Museum Tour (1) )
実はベネチアにももう行ってきてしまった。昨年10月にマルセイユの Fiesta des Suds を観に行っている合間、4泊5日でベネチアに滞在(フェレンツェも迷ったが、調べてみるとヴェネチアの方がずっと良さそうだったので、昨年はヴェネチアだけにした)。いつか観たい思っていた美術作品や建築のほぼ全てを一気に観てまわってきた。
(Twitter と Facebook には旅日記風にメモし続けていたが、ブログの方には3度目となったイタリア旅行についてまとめて書こうと思っているうちに1年が過ぎてしまった。)
面白いことが起きたのは帰国してからのこと。12月に読み始めたプルーストの『失われた時を求めて』についてはほとんど予備知識を持っていなかったのだが、この作品の重要な舞台のひとつがヴェネチアであることに読み進むうちに知った。おかげで作品中でヴェネチアの情景が描写される度に、それがありありと頭の中に浮かぶ。数ヶ月前に実際に観て来たところばかりなのだから当然だ。
昨日観て来た『ターナー展』、荒れ狂う海を描いた大作、後年を代表する光溢れる抽象的な作品も少なく、一番好きな『戦艦テメレール号』や『雨、蒸気、スピード』や『国会議事堂の火災』といった傑作も来ていないのだから、物足りなくなったのも仕方ない。そんな中で今回の展示でひとつの山場をなしていたのは、やはりヴェネチアの連作。そして、またしてもヴェネチアの情景を思い出すことになり、鑑賞を手助けしてくることになった。例えば、サン・ルカ教会やドゥカーレ宮殿の内部はどうなっているか、どこにどんな絵がかけられているかまで、今でもはっきりと憶えている。
旅や美術鑑賞や読書など、趣味を多く持って、それらが偶然にも繋がっていくことはとても面白く、互いの楽しみを豊かにしあってくれる。ただ残念ながら、現在のヴェネチアはターナーが描いた美しさからはほど遠いのだが。
(東京都美術館にはしばらく前にも行ったなと思って記憶を辿ると、今年3月に『エル・グレコ展』を観に行ったときだった。これもマドリッド繋がりだった。)
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