2013年 11月 23日
Scandinavian Tour (1) - Excerpt (Munch 150 Year)

今年の夏にはノルウェーとスウェーデンで、今年生誕150年のムンクを観てきた。
これも非公開旅日記(帰国直後の7月に書いたもの)から紹介。
(写真は左から、ベルゲン美術館、オスロ国立美術館、マルメ美術館のパンフレット。いずれもムンク作品/ムンク展を表紙にしている。)
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北欧ツアー(1): Scandinavian Art Tour
今年6月28日から7月14日まで北欧を旅してきた。かねてよりそれほど関心もなかった北欧なので行っても退屈するかと思ったら、そのような気分が生まれることもなく案外楽しめた。
昔からスウェーデン人の知り合いがいたし、スウェーデン出張の打診を受けたこともあった。しかし何故か興味は湧かず、またその都度条件が合わなくて訪れる機会もないままでいたので、縁はないものとばかり思っていたスウェーデン、そして北欧。それが突然スウェーデンに行かなくてはならない理由が生まれて初訪問。巡り合わせとは不思議なものだと改めて思う。
せっかくスウェーデンまで行くのなら、ついでにデンマーク、ノルウェー、フィンランドにも足を延ばせないだろうか。そう思い、何とか少し長めの休暇を取ったのだった。
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普段だと旅程(トランスポートとホテルのブッキング、食事する場所、等々)はほとんど自分で決めてきた。けれども今回は全てパートナー任せにした。それは、北欧には土地勘がなく、細かく調べている時間もなく、また繰り返すようだが北欧について積極的な興味もなかったから。
それでもただ行くのでは勿体ない。自分は北欧で何をしたいのだろうと考えてみた。その結果として事前にリクエストしたのは以下の項目。
(1)ムンクを見たい。彼の代表作『叫び』を中心に今年開催される生誕150周年展を見たい。
(2)ノルウェーのフィヨルドの絶景を見たい。
この2点は必須条件。あとはオマケということで、できれば、
(3)スカンジナビアン・デザインを堪能したい。
(4)現在世界最高のレストランと謳われているコペンハーゲンのノマ noma で食事がしたい。
(5)スウェーデンの移民たちの音楽事情について知りたい(特に在マルメのパレスチナ人やストックホルムなどのアフリカ移民)。
こうしたことも要望しておいたのだった。
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まずムンク。今回の旅でも美術館巡りをたっぷりできたので、ほぼ100%満足する結果だった。

昨年は4月にスペイン、マドリッドの3大美術館と市内の主要な教会を4日間かけて見尽くした。10月にはイタリア、ヴェネチアの美術館と教会群を巡り、ここで見たいと思っていたもののほとんどを目に焼き付け、さらには偶然開催中だった建築ビエンナーレにもどっぷり浸かった。そして11月にはパリのルーブルを再訪問、完成直後のイスラム・コーナーを心行くまで堪能してきたのだった(このイスラム・コーナーは展示作品の質的にも所蔵点数でもレイアウトの点でも実に素晴らしかった…って、まだブログには書いていなかったか?)。
そうした昨年のアート・ツアーに続いて今回は、デンマークのコペンハーゲン美術館、ノルウェーのオスロ国立美術館とベルゲン美術館、スウェーデンのマルメ美術館を探訪。ムンク Munch やダール Dahl を中心に北欧絵画などをじっくり見て来る願いが叶った。

まず最初に訪れたのはオスロ国立美術館。ここではムンク生誕150周年の特別展が開催中で、『思春期』『マドンナ』『接吻』『叫び』などを一度に鑑賞できた。特に『思春期』以外の主要な代表作は一室にまとめらていて、ここだけで彼の生涯を辿ることができるようになっていた。ただこの部屋の展示の仕方が恐ろしく安っぽかったのは残念。それでも、訪れた時にはこの部屋を独り占めできる程度の空きようだったので、ゆったり見て来ることができた。これは海外の美術館で作品鑑賞する際の大きな利点である。
ムンクの作品の中では『思春期』に惹かれていたので、これを直に見られて良かったな。一方で『叫び』からはさほど特別な印象を受けず。それでもどの作品も不思議な魅力を放っているいて、ムンクの凄さを実感。シンプルなタッチから浮き上がってくる冷えきった心情のようなもの、どこまでも暗い瞳、そうした描写から伝わってくる独特な感覚に惹き付けられて止まない。
同じオスロ市内のムンク美術館にも行こうかと迷ったが、これは止めておいた。国立美術館のコレクションには及ばない?らしく、雨も降ってきたので、無理はしないことに。1日で美術館を複数廻ると(オスロ滞在は2泊だったので、美術館巡りをできるには実質中日の1日だけだった)印象が薄れてしまうことでもあるし。この後北欧滞在中に他の美術館のムンク・コレクションも見ることができ、また同様なモチーフの作品が多いために重複感が強かったので、ムンク美術館まで行く必要はなかったかもしれない。

それにしても、直に見たムンクは凄かった。特別な興味を持っている画家ではなかったのに、これほどとは…。
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美術館を巡って名画をじっくり見つめる度に、人間の創造力の深さにひれ伏すような思いにかられる。やっぱりアートは面白い。
さて、次はどこの美術館に行こうかと、思いが巡り始めている。
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