2014年 08月 17日
Michelin - Maps of Africa
私がミシュランと聞いて連想するのは、その中心商品であるタイヤでもなく、世界のレストランの格付け本でもない。
私にとってのミシュランは、断然、地図! アフリカにはだいたい1年おきに出かけて行ったが、その都度一番重要な旅のツールとなったのが、ミシュランのアフリカ地図だった。別にこれほど詳細な地図など必要なかったのかも知れないが、今自分がいる位置と周辺環境を正確に知ることができ、そしてこの地図を眺めていると今旅しているのだという気分も自然と高まる。
旅に出かけられず日本に長く留まっているときにも、この地図を取り出して拡げることがしばしば。大判の地図一杯を埋め尽くす町の名前や川を見つめていると、いつかそれらをひとつひとつ訪れてみたいという感情がふつふつと湧いてくる。ホント、ミシュランの地図を眺めているだけで楽しくてしかたない。
ここ数日も、#955 の中のコンゴを見てはジュピテルが暮らすキンシャサのことを思い出したり、#954 のエチオピアでミシェル・レリスの旅を辿りながら、自分が歩いたルートと重ね合わせたりしたり。これまでに体験した旅行ルートをミシュランの地図で再確認すると、案外思い違いしていた部分があることに気がついたりもする。そして、次はどこに行こうかと、想像力が逞しくなっていく。
ところで、ミシェル・ウェルベックの新作『地図と領土』は、主人公がミシュランの地図にある処理・加工を施したアート作品によって現代美術の大家となることから話が展開していく。確かにミシュランの地図は芸術作品並みに美しい。そして手にした者に想像力を喚起する。『地図と領土』は現時点で今年読んだ中で最も面白かった小説だったと思っている。それには、自分のミシュランに対するそんな心理も働いているのだろうか。
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余談
拙フェイスブック(とブログ)には時おりミシュランで星付けされた店が登場するが、これはたまたま。たいていの店は、味や雰囲気が気に入って通っていただけのこと。近所にあって値段も手頃なので(一般的な居酒屋で飲むのと大差ない)、晩飯作るのが億劫なときには、サンダルひっかけて出かけたような店が多かった。例外は大阪の実験的3星 Fuuiya 1935 くらいかな。それがいつの間にかミシュランの赤本に掲載されて、おかげで予約を取りにくくなった店もあるくらい。正直迷惑な話だ。海外でごちそうに与ったレストランも、後でネット検索してミシュランで星付きであることを知った店ばかり。もちろんミシュランの本は持っていないし、参考にしたこともない。
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