2014年 09月 21日
読書メモ:竹沢尚一郎『西アフリカの王国を掘る:文化人類学から考古学へ』

竹沢尚一郎『西アフリカの王国を掘る:文化人類学から考古学へ』 (臨川書店、フィールドワーク選書 10) 読了。マリ共和国の北部の村やニジェール川沿いの町ガオにおける最近10数年間の発掘調査に基づく研究結果をコンパクトにまとめている。
西アフリカの歴史は肝心な部分にも分かっていないこと、定説に怪しいものがまだまだあるという。従来から文化人類学者たちによってなされてきたイスラームなどの文献や口承伝承の研究を通じてだけではなく、直接遺跡を発掘調査するによって、新たな事実を探る竹沢氏の研究の面白さが伝わってくる。古ガオ遺跡のような大規模な遺跡が近年になって発見されたこと、そこから得られた新事実や推測が従来のアフリカ史を大きく書き換える可能性があることに、少なからず興奮させられた。
むすびとして書かれた、世界史の中にアフリカを置き(西アフリカとの交易と奴隷貿易を通じたヨーロッパに発展を描き)、そこを起点とした歴史の再検証も興味深かった。もっと大部の資料でも読んでみたい内容だったし、今後の発掘調査も待たれる。
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この本の舞台となっている西アフリカのマリ共和国は、旅しようとしながらほとんど実現できなかった国のひとつ。1999年5月にダカールから Air Afrique で首都バマコに飛んで、そこにほんの数日滞在しただけ。有名なモスクのあるジェンネあたりにや砂漠のブルース・フェスが開催される北部の砂漠地帯には行ってみたいと思い続けたのだが…。国内線があまり頼りにならないマリの旅は時間がかかりすぎるので難しい。
(徹夜仕事明けなので、今日は軽めに…。)
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(追記)今日 9/22 はマリの独立記念日らしい。ちょっとした偶然。
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