Big Surprise at SFJAZZ

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 「君たち日本人だよね。昔、会ったことがあるよね。」
 終演後にそうベーシストが声をかけてきた。




 1月9日の夜はファロア・サンダース Pharoah Sanders を観るべく、元旦(メイシオ・パーカー Maceo Parker)に続いて再び SFJAZZ Center へ。

 ファロアは 74歳にしては足元がおぼつかなく、歩くのもやっと。年齢の近い(70歳の)メイシオとは対照的。これで満足なプレイが出来るのだろうかと心配にもなったのだが、ひとたびテナーサックスを構えるとさすがの一言。時おりフリーキーなフレーズも交えるものの、オーソドックスな演奏。これが実に良かった。テナーの歌わせ方が素晴らしい。

 オーディエンスも年齢層が高く、伝説の巨人を見に来たという雰囲気に溢れていた。前半40分で3曲。20分休んだ後、1時間で4曲。後半は John Coltrane のレパートリーを3曲続けた。しかしファロアは、ほとんど曲の頭と終わりでテーマを吹くだけ。あとはバックのトリオに全部おまかせ。

 もっとバリバリ吹く様を観たかったのだけれど、恐らくもうこれが彼にとっての限界なのだろう。フレージングにインスピレーションが伴わないと感じた瞬間にプレイを止めたようにも自分には見えた。もっとテナーを吹いて欲しいという思いに逆らうように、しばし歌い続けてしまうし。

 なので、全体的に予定調和な空気に終始した感が強い。それでも、ファロアのテナーは本当に美しかった。優しい情感に溢れていて、思わず感動してしまうほどに。



 会場に行く前に SFJAZZ のページを読んでおいた。そして思わずビックリ! ベーシストの名前が Nat Reeves と書かれている!

 私が初めてジャズのコンサートに行ったのは今から33年前の 1982年7月16日のこと。ソニー・スティット Sonny Stitt の札幌公演だった。このときソニーはすでにガンが悪化しており、演奏は不可能。車いすに乗って舞台上から挨拶するのが精一杯だった。結局これが彼が公に姿を見せた最後となった(同月22日に死去)。

http://ja.wikipedia.org/wiki/ソニー・スティット

 札幌公演はリーダー抜きのトリオ演奏となったが、それは決して悪いものではなかった記憶がある。それでも予定とは異なるものとなったこと、リーダーが病に倒れたことに対する気持ちもあって、終演後にメンバーたちに挨拶させていただいた。

 そう、その時のベーシストの名前もナット・リーヴスなのだった。



 SFJAZZ のロビーで声をかけてきたナット・リーヴスに、同名異人だったらどうしようと思いながら、恐る恐る「33年前にソニー・スティットと一緒に日本に来ましたよね?」と尋ねてみたら、、、正しく33年前に会話を交わしたナット・リーヴスだった。

 私の家に来たことのある人は見覚えがあるかもしれないが、Sonny Stitt 札幌公演のポスターにナット・リーヴスにサインをもらって額装して飾ってある。今回も彼の CD "State of Emergency!" にサインをお願いした。そこには 'Until we meet AGAIN' と書かれている。ナットにはまた会えるといいな。

 ナット・リーヴスのバイオには27歳の時の日本ツアーが初めての国外公演だと書かれている。それだけに彼にとって日本での記憶が強く残っているのだろう。それで日本人らしき姿を目にして冗談まじりに声をかけてきて、楽しく会話してくれたのに違いない。まさか、大ウソのつもりの冗談が本当のことだったなどとは思わずに…。

 こんな偶然の再会ってあるんだなぁ〜。今年最初のビッグ・サプライズになりました!


*追記

 ステージ写真がネット上にあった(借用してアップ)。

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 Pharoah Sanders(probably 2015/01/09)

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 Pharoah Sanders & Nat Reeves(probably 2015/01/10)






by desertjazz | 2015-01-12 18:00 | Sound - Music

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