2015年 02月 15日
読書メモ:高野秀行『恋するソマリア』

高野秀行の新著、『謎の独立国家ソマリランド』の続編『恋するソマリア』を読了。旧ソマリアのソマリランドと南部ソマリアを2011〜2012年に再々訪問、再々々訪問した滞在記。
以下、ざっくり雑感。
・『西南シルクロードは密林に消える』や『謎の独立国家ソマリランド』ほどのレベルまでには届いていないが(これら2冊に比べたらやや軽い読み物風雰囲気)、今回もとにかく面白い。危険地帯への旅なのに。あり得ない成り行きの連続で、作り話かと思った場面すらあった(例えば終盤のハイライトは「あー、夢だったのか」という落ちかと思って読んだほど)。
・これほど真剣に「恋すれば」ここまで言葉を使いこなし、ここまで「秘境」の奥まで入り込めるのかと、著者の熱に唸らされた。笑いを誘うような語り口がいい。
・前著で初めて明かされたソマリアが自ら放つ光明にも、再び危機の迫りつつある現状を知る。
・なるほどと思ったのは、「三十年近く世界の各地を歩いてきた経験から、人間集団を形作る内面的な三大要素は「言語」「料理」「音楽(踊りを含む)」ではないかと思うようになってきた」(P.70)との指摘。このことには同意する。そして、自分の周囲の旅好きな友人たちも揃って、言語と料理と音楽に興味を持って異国を歩いている(さらに加えれば、文学、美術、工芸、建築などにも)。旅好きの視点は皆似ている。
・ソマリア料理のレシピがいくつか紹介されている。機会があれば食べてみたい。(最近パームオイルを使った味が恋しくなっているので、試しに作ってみようか?)
・有名な歌として、アブディナシル・マアーリンの「バッダ・アス(紅海)」が紹介されていた。 YouTude で探してみたのだが見つからない。今後はソマリアの昔と今の音楽のことをもっと取り上げて欲しい!
・北欧にソマリア移民の多いことを知った。そういえば一昨年オスロでソマリア人の大集団が行進しているのを遭遇して不思議な思いをしたのだった。
等々まだあるが、取りあえずメモ。
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ところで、ソマリア音楽で思い出すのは、何と言ってもこれ。
・"Somali Songs of the New Era"
ツイッターなどで再度取り上げたところ、結構聴かれたようだ。何度聴いても気持ちが盛り上がります。是非 CD でリイシューして欲しいし、同様な録音がまだ他にあるのなら聴いてみたい! 本当なら自らレコード発掘に行きたいくらいなのだが、それはさすがに不可能だろう。
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