読書メモ:輪島裕介『踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽』

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 輪島裕介『踊る昭和歌謡―リズムからみる大衆音楽』を読了。

 懐かしい歌曲(主に70年代のもの)が並ぶ中に、前著『創られた「日本の心」神話 「演歌」をめぐる戦後大衆音楽史』での演歌に対するのと同様、ほとんど誰もが疑問を持たずに信じ切っていた神話を打ち壊し、新たな視点を提示する面白さがある。途中度々挟まる私事は余計だけれど、それらも笑えて、やや硬い文章の中でアクセントになっている。

 私の保守的な頭に定説が染み込んでいるからなのか、昭和歌謡で踊った経験がないからなのか、個人的には無理ある推論に思える部分も随所にあった。多分、日本の音楽よりも「洋楽」を好んできたことも影響しているのだろう。

 例えば今からドドンパを聴き直したいとも思わないが、この本の中で指摘されている通り、音楽が根元で踊りと結びついていることは確か。なので、音楽と踊りの関係性を世界の音楽に拡張してより深く検証してみることにも意義があるのかも知れない、などとも思った。

 ただ、日本人の脳裏にすりこまれた「演歌」誕生のイメージを打破した分、前著の方がインパクトがあったな。


 (・・・たまには新書も読みます。)






by desertjazz | 2015-02-25 18:00 | 本 - Readings
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