2015年 03月 29日
New Disc : "Bali 1928, Vol.II"
何年も待ち続けた CD がようやく完成し、アオラから国内配給になった。早速エル・スールに飛んで買いに行き、じっくり聴いている。
・ Bali 1928, Vol.II : Tembang Kuna, Songs From an Earlier Time, Tembang - Kidung - Kakawin
1928年(と29年)にインドネシアのバリ島で初めての音楽録音が行われ、100枚強?の SP盤が現地で発売されたという。その音源の CD化がドイツ World Arbiter によって初めてなされたのは 1999年のこと(18トラックの現地録音に、後述するコリン・マクフィー Colin McPhee のピアノによるガムランのデモ演奏を抱き合わせた変則的なもの)。続いて CD5枚の完全版シリーズが計画され、その1枚目 "Bali 1928 : Gmalan Gong Kebyar, Belaluan - Pangkung - Busungbiu" が2009年にリリースされた。
しかしそのプロジェクトは中断。プロデューサーが大病を患いシリーズ続行が危ぶまれていると聞いていたのだった。
さて、突然届けられた第2集。繰り返し聴いているのだけれど、歌(独唱が多く、2人での掛け合いもある)のみの録音が中心で思いっきり地味。とにかく地味過ぎる。録音のせいなのか、SP盤に付随するものなのか、ノイズもたっぷり。でも期待に違わぬもので、その歌声に聴き惚れる。ノイズリダクションはギリギリに留めたようで、その分音が生々しいところがいい。ゆったりした歌声からは当時のバリの空気が伝わってくるかのようだ。(ただし録音自体には密室感が強い。)
このCDには116ページもあるデジタルブックレットがついていて、各トラックの詳細の他、SP盤のラベルや当時の写真も楽しめる。またアオラの国内盤解説はかつてないほどの長さ。活字のポイントを大きくした英断も大歓迎だ。その解説によると、リリースが遅れたのは「調査プロジェクト」に時間を要したからだとのこと。大病説とどちらが本当なのだろう? いずれにしても長年待った甲斐があった。
これでプロジェクトは無事再開ということなのだろうか? Vol.3 〜 Vol.5 も早く聴きたい!(あくまで個人的感想。本シリーズの録音はどれも大好きですが、"Vol.II" はさすがに万人向けではありません。)
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1928年バリ最初期録音のリイシュー最初の1枚 "The Roots of Gamelan" は、発売直後にその情報を掴み、1999年12月14日にシンガポールのHMVで購入(自宅のデータベースで確認した)。それを日本の雑誌でレビューしたのが、恐らく日本での初紹介のはず。ちょっと懐かしく、その分このシリーズには愛着もある。
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"Bali 1928" と深い繋がりのある Colin McPhee の著書 "A House in Bali" は、大竹昭子さんの訳書『熱帯の旅人 バリ島音楽紀行』でもちろん持っているし、英語版もバリで買って持っている。今度は英語版で読んでみようかな?
それより、この本の写真を眺めていると、またバリでまったりしたくなる。それは古の空気感へのノスタルジーなのかも知れないけれど…。
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