2015年 12月 05日
Paris & Marseille 2015 (#6) : OUM "Zarabi" Concert in Paris
☆2015年10月13日(火)
今年2度目となったパリ滞在4日目、夜はモロッコのソウル・ディーヴァ、ウム OUM の新作(4作目)"Zarabi" のお披露目ライブへ。ウムはインディ・ザラ Hindi Zara と並んで特に好きなモロッコの女性シンガー。この日は同じパリで Souljazz Orchestra のライブも組まれていて、どちらに行くかちょっと迷ったものの、やっぱりウムが観てみたかった。
会場は Café de la Dance。まあ当日券でも十分入れるのだろうと余裕でいたら、、、なんと数日前にチケット完売。彼女人気あるんだなぁ。確かに Tinariwen とコンサートで共演するほどだから、それも不思議じゃないか。日本からネットでチケットを買っておいて正解だった。
少し早めに行ったのにこの長蛇の列。これがこの先、角を曲がった通りの先までずっと続いていた。やっとこさ場内に入るとフロアはすでにファンで埋まっている。ステージ前にはモロッコ系と思わしき若き美女ばかり。事前にマネージメントから写真撮影の承諾を得ていたもの、これではステージ最前まで行けない。まあ、良い写真を撮ることは諦めて(それでも遠目から少しだけ撮影したけれど)、ライブを楽しむことにしよう。
ステージ上一面を埋め尽くす生花。アドリアーナ・カルカニョットの日本公演を思い出すな。いつもスタイリッシュで美しいウム、今夜は思ったよりも質素な衣装で登場。ステージ袖でサンダルを脱ぎ、裸足になってステージ中央へ。まずお供え物にお祈り?
予想通り、新作 "Zarabi" の曲を中心に進行(CD "Zarabi" はパリ到着後に買ったものの、ライブ前に聴けなかったので、このことは後で確認)。新作に関して意外だったのは、これまでからはレコーディング・メンバーを一新したこと。ベース、ウード、パーカッション、トランペットという4人編成のバンドのアコースティックな演奏は、ジャジーでとても穏やかなものだ。ウムの歌も抑えめな印象で、ぐっと大人めいた雰囲気。全体に柔らかいナチュラルなサウンドを楽しめたものの、ライブで聴いていると音量がやや物足りなく感じるところもあった。
(翌日観たナターシャ・アトラスのライブもトランペット奏者を従えたジャズ路線で、2人とも模索している時期なのかな?とも思ったのだった。)
Damian Nueva (Contrabase)
Yacir Rami (Oud)
Rhani Krija (Percussions)
Yelfris Valdes (Trumpet)
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中盤からは、もう一人のトランペット奏者、パワフルな女性シンガー、サックス奏者、キューバン・パーカッション奏者が次々登場。モロッコとソウルの枠を超えて、ジャズ、カリブ、南米、ブラック・アフリカまでもを取り込んだ汎ワールド的なステージを展開。ただゲスト・プレイヤーに繰り返しソロ演奏の機会を与えるものだから、ステージングがどんどん冗長になっていく。新作を作ったコアの5人だけでライブを完結させた方がずっと良かったのではないだろうか。そこが個人的には残念。
それでも終盤に "Taragalte" を聴けて良かった(これも、ソロ回しが長過ぎ)。この曲が現時点で彼女の代表曲だと思う。ウーレーション(ユーユー)含む絶唱を聴いてやっと満足できた。他のお客さんも似た気分だったのかな?「Lik やって!」なんて声もかかっていた。ファースト・アルバムのこのタイトル曲、今でも好かれているようだ。
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Camera : Canon EOS 7D Mark II
Lense : EF-S17-55mm F2.8 IS USM
ステージからやや離れて、なおかつ移動できないポジションからの撮影は厳しいな。ましてやまだ新品カメラを試用中。でも、ブログにアップして見ると、何とか見るに絶えるレベル。このレンズ、ワイドなのに優秀だな。
最初ステージ下手(左側)でスタンバイしていたのだが、公演前に上手(右側)に移動。この決断は正解だった(ウードの手元は見えなくなったが)。良い音を聴く、良い画を撮るには、カンと観察力とその結果のポジション取りが重要。
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当日のステージから1曲 "Mansit" が昨日5日に公開された。
OUM - MANSIT Live @ Café de La Danse
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(1) Oum "Lik'Oum" (2009)
(2) Oum "Sweerty" (2012)
(3) Oum "Soul of Morocco" (2012)
(4) Oum "Zarabi" (2015)
(1) はモロッコ・オンリー(?)でリリースされたファースト・アルバム。Fassiphone や AMD も配給したようなので、欧州でもある程度流通していたかも知れない。欲しいという人がいるので、デッドストックの有無をマネージメントに問い合わせてみる予定。(2) は主に仏グルノーブルでの録音。ウムは一部の曲でキーボードやギターも担当している。ボーナス・トラックの "Oum Song" はマヌ・ディバンゴが演奏とプロデュースで参加。(3) は (1) の5曲と (2) の2曲に "Haylala" と "Taragalte" を加えたベスト盤。ただし "Lik" はファースト収録とは異なるアコースティック・ヴァージョン。
新作 "Zarabi" もとても良い作品だ。しかしこれらを順に聴いていくと、ファーストとセカンドにあったポップさや快活さが抑えられた分、彼女本来の魅力が幾分薄れてしまったような気もする。
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