2015年 12月 31日
BEST ALBUMs 2015
1. DUPAIN / SORGA (France)
2. FAADA FREDDY / GOSPEL JOURNEY (Senegal)
3. IBRAHIM MAALOUF / ILLUSIONS (Lebanon, 2013)
4. ADIOUZA / LI MA DOON (Senegal, 2013)
5. SUFJAN STEVENS / CARRIE & LOWELL (USA)
6. BEIRUT / NO NO NO (USA)
7. THE DO / SHAKE SHOOK SHAKEN (France & Finland)
8. HINDI ZAHRA / HOMELAND (Morocco)
9. TIGANA SANTANA / TEMPO & MAGMA (Brasil)
10. SEU JORGE / MUSICAS PARA CHURRASCO II (Brasil)
終わってみたら、デュパンとファーダ・フレディとクロ・ペルガグに興奮しっぱなしの1年。なので、今年の4月に彼ら3組のライブを観たパリ3連夜は自分にとっては正に奇跡だった(デュパンのリーダー、サム・カルピーニャやファーダと再会し、クロ姫とも直接話ができたし)。
デュパン12年振りの新作と、今回会うのが5回目!となったファーダの初ソロ、どちらを1位にするか迷って何度も何度も入れ替えた。結局、12年間待ちこがれた思いとアルバムの完成度を優先して "Sorga" を1位に。ライブの素晴らしさなども加味すると "Gospel Journey" が1位でも全くおかしくない。実際聴いた回数は "Gospel Journey" の方が遥かに多かったことだし。デュパンは終盤の頂点に向かって濃密さを増して行くインプロビゼーションが圧巻。ただ前作 "Les Vivants" のキレまくったポップさの方が好きだというは正直なところ。"Gospel Journey" は声とボディだけで思いっきり楽しい音楽を産み出せることを示したポップの傑作。アルバムのサウンドをよりゴスペル風に壮大なものにしたライブも最高だった。なぜこれが日本で話題にならなかった??
次ぐ3位は今年4月にリリースされた Klo Pelgag "L'Alchimie des Monstres - Edition de Luxe - " にしたいところだが、これの元アルバムは昨年1位にしたのでガマン(彼女の日本公演がキャンセルされたのは残念)。代わりに選んだのはレバノンのジャズ・トランペッター、イブラヒム・マールフの "Illusions"。今年リリースした新作2枚"Kaltuoum" と "Red & Black Light"も充実していたが、2年前のこのアルバムの方がずっといい。対位するトランペット・アンサンブルを筆頭に、自分が音楽に求めるあらゆる興奮要素が詰まっていて、21世紀のベスト10に入り得るレベルの大傑作。2013年作でなければ1位でもおかしくない(彼はシェイク・ローの新作にも、間もなく出るナターシャ・アトラスの新作にも参加している。どうしてこれまで彼をスルーしてきたのだろう。今一番ライブで聴きたいひとり)。
アフロ・ポップは新作もリイシューも熱心に聴いたものがあまり思い浮かばない。そんな中ほとんど唯一の例外と言えるのは、これまたパリで見つけたアディウーザ嬢のアルバム。年末の今でも冒頭2曲だけ繰り返し聴いている。2015年のベスト PV もアディウーザの "Ndaanane" です。
スフィアン・スティーブンスは久々の快作。でもアルバム出す前に全曲無料で配信した音を聴き過ぎてしまったためか、CD の音で聴いた印象が希薄。ベイルートはタイトル曲の朴訥とした雰囲気がなんともいい。スフィアンとベイルートのメランコリックな暖かさに惹かれた。
結構な豊作年の印象だったのに、7位以下は大迷い。The Dø は10月にライブを観てからヘビロテ中。モロッコの歌姫はライブを観たウムの "Zarabi" よりもインディ・ザラの新作の方が良かった。ウムのマネージメントからは「日本でライブをやりたい」と連絡があり、インディ・ザラの関係者からは「日本盤を出したい」と相談を受けたが、どちらも話が進まず。でも来年以降もフォローし続けます。
残る2枠はブラジル勢の争いに。最後に落としたのは Celso Fonseca "Like Nice"。最初は5位に入れたのだが、入手できたのが年末で聴き込みがまだ足りない。今年のスキヤキ組の中では9位に入れたティガナ・サンタナ(チガナ・サンタナ)が良かった。セウ・ジョルジの美味しいアルバム第2弾も最高!(でもどうしてこれが10位なんだ? セウ・ジョルジもライブを観たいな。)
・・・ということで、時代を象徴するとか、歴史に残るとか、未来を予見するとかいったことは一切抜きに、今年自分が好きでよく聴いたアルバム10枚です。
次点を挙げるなら、こんなところかなぁ。
・CELSO FONSECA / LIKE NICE (Brasil)
・JALAL EL HAMDAOUI / REGGADIATES 2013 (Morocco, 2013)
・TIGRAN HAMASYAN / YEREVAN STATE CHAMBER CHOIR/HARUTYUN TOPIKYAN (Armenia)
・REDA TALIANI / BLADI (Algeria)
・D'ANGELO AND THE VANGUARD / BLACK MESSIAH (USA)
・COUMBA GAWLO / 23ANS DE SUCCESS (Senegal)
ここで、「あれっ? "Bladi" がベスト10に入っていない」と思う方がいるかも知れない(いや、いるはずないか。"Bladi" は確かに良い作品だけれど、自分のベスト10には入らないなぁ)。
私がフランスで見つけてきて、渋谷のエル・スール・レコーズに紹介したレダ・タリアニの "Bladi" とファーダの "Gospel Journey" が『ミュージック・マガジン』ベスト・アルバム 2015 のワールド・ミュージック部門で1位と5位だって!
ひとりの音楽ファンが趣味で探してきた CD がベスト5に2枚も入るなんて、それだけワールド・ミュージックのマーケットが縮小しているのかだとか、日本に入るべきアイテムが届いていないのだろうかだとか、マガジン内輪関係の限界が露呈しただけか、などなどいろいろ考えるところ多い。まあ誰もが言っている通り、合議制に無理があるのだろう。
今年は音楽を聴く時間がさらに少なくなり、レコードの入手枚数もまた減った(過去30年間で最低かも)。実際、音楽を聴くより、本を読んでいる時間の方がずっと長い。ブログで音楽について語る余裕もほとんどない。それでも自分の感性にひっかかる音楽が確実に捉えられているし、その感覚を誰かと共有できていることは嬉しく思う。自分が日本に紹介した2枚がマガジンでこうして取り上げられたことについても、取りあえずは自分のやっていることもわずかながら世間の役に立っているのだろうと考えることにしよう。
(2016.01.02 07:50 追記修正)
♪
♪
♪
♪
♪