【回顧2015 - Part 2】


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 今年はこのカメラとレンズの組合せで飛び回った。

 ・Canon EOS 7D Mark II
 ・Canon EF-S17-55mm F2.8 IS USM
 ・Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM

 APS-C サイズとしては、恐らく最も贅沢な組合せだろう。



 わざわざ日本からやってきたからなのか、知り合った音楽関係者たちが裏で口添えをして下さっているからなのか、例えばフランスの各音楽フェスでは自由に写真を撮らせてもらっている。ステージやバックステージの写真を撮るようになったのは、自分のサイトやブログでフェスを紹介する際、写真はないよりあった方がいいだろうと考えてのこと。

 5年ほど前にスキヤキに通い始めたころには、(失礼ながら)まともなステージ写真が全くネットに上がっていなかった。運営スタッフが忙しい合間にケータイで撮ったらしきものがわずかに見られる程度。ならば自分で撮影してリポートしようと思い立った。

 折角撮って披露するなら多少なりともまともな写真の方がいい。しかし、自分は写真に関しては全くの素人(・・・と断言するには誤謬があるだろうか。プロ仕様のビデオカメラに関しては一通りのことを勉強しているので)。なかなか思ったような画が撮れない。

 機材面で限界を感じたのは4月にパリに行ったときのこと。EF-S17-55mm は APS-C 最高のレンズ。なので、あとはどこまで被写体に近寄れるかが勝負だ。ところが、接近戦が許されないシチュエーションが続く。しかも暗い。またネットでの使用を考えると、今はもう動画の時代だとも感じる。メインで使っている EOS 50D に動画機能が備わっていないだけでなく、ずっと違和感(初期不良?)を感じでいたこともあって、スキヤキ前にボディとレンズを新たに購入することにした。

 まず迷ったのはフルサイズに移行するかどうか。心の内ではフルサイズが欲しくて仕方なかったのだが、APS-C 専用の EF-S17-55mm が使えないのは痛い。軽い方がいいし、予算も限られているので、最後にはキャッシュバック・キャンペーンに乗せられて?7D Mark II に決定。しかし、これはステージ撮るにはあまりにオーバースペック。連写毎秒10コマって、笑っちゃうくらいに速い。やはりこれは、鉄道、飛行機、動物を撮るのに特化したカメラなのだろう。

(後で分かったことだが、フルボディと APS-C とではボディに重量差はなく、画素数にも差がない。ということは望遠については後者に歩がある。なので、フルサイズ不要論さえ出ているのかも知れない。)

 EF-S17-55mm はワイド域のみなので、明るい望遠レンズの入手も必須。EF28-300mm F3.5-5.6L IS USMか、EF70-300mm F4-5.6L IS USMか、EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USMかと迷ったが、人気で数ヶ月待ちだったり、何よりステージを撮るに暗そうだ。そこで思い切って Canon EF70-200mm F2.8L IS II USM に決めた。これもキャノンで一番人気のレンズなために量販店は全滅。何とか秋葉原で安いブツを見つけてゲット。このレンズを一度使ってみたかったし、キャンペーンで3万円のバックがあったし。結局今年一番高価な買い物になってしまった。このレンズ、確かにスゴイ。静かだし、多少暗くても瞬間でピントが合う。



 さて初めての本使用となった8月のスキヤキ。動画撮影の出番も望遠レンズの出番もほとんどなし。EOS で動画を撮るには無理がありすぎる。ズームもボディを1台しか持っていかなかったので、レンズ交換が面倒。それでもティガナ・サンタナの静寂ステージとクアトロ・ミニマルの暗闇ステージとでは威力を発揮してくれた。

 続く10月のパリとマルセイユ、迷った末に昔から持っているものも含めて望遠レンズは置いていった。CD買付けもあったし、フランスの後はイタリアに飛ぶ予定でもいたので、少しでも荷物を軽くして行きたかったから。もう一度ワイド1本で勝負することに決めた。

 しかし 55mm までというのは厳しい。あとちょっと寄りたいのに寄れない。動画も全く撮らず仕舞。

 それより何が厳しいかと言えば、頭3曲縛りだ。Fiesta des Suds は既に勝手知ったるもので、ステージ下手に5分前に集合し、そこでフォトブースに通じるゲートが開けられる。一応パスのチェックがあるのだが、一度もパスを見せなかった。それでも問題なし。そして3曲終わったところで全員退場させられる。

 最初の3曲までだと、アーティストたちもまだ探り状態だし、照明も退屈。なので良い写真など撮れっこない。機材やポジショニングやタイミング以前に限界がある。そんな中で(耳栓しながら)撮っているカメラマンたちはプロなんだな。(耳栓している)彼らと同じ写真を撮っても意味がないので、少しでもフェスの雰囲気を伝えられるものをと思ったものの、やっぱり頭3曲縛りがキツかった。



 スキヤキやマルセイユでの撮影を通じて感じたのは、このレンズの組合せだと 55-70mm という美味しい範囲が抜けていること。どうやらもう1本レンズが必要なようだ(良い接写レンズも欲しいのだが)。

 その一方で、もう一眼レフの時代ではないような感触も抱き始めている。ズーム域の広いレンズのついたミラーレスの方がメリットがありそう。けれども、被写体深度がどれだけ取れて、ボケをどれだけコントロールできるのかも分からない。



 1年間試行錯誤しながら1万枚くらい撮ったが、納得できる写真は1枚もなかった。やっぱり写真は難しい。フェスではカメラの電源切ってビール片手に踊っている方がずっと楽しかった。ブログをやっていなかったら、きっと写真なんて撮っていなかったかと思う。



 それでも、ちょっとだけ写真の楽しさを感じ始めてきたかな。どの会場でも「また会ったね」といった風に多数のカメラマンたちから挨拶されたし。



 子供の頃は本ばかり読んでいて、中学校に入ってもビートルズすら知らなかった自分が、今音楽について語っている。学生時代はレコード至上主義で、コンサートやライブには滅多に行かなかった自分が、フェス通いをしている。カメラには全く興味を持っていなかったのに、海外の巨大フェスでオフィシャル・カメラマンとしてステージを撮影している。考えてみると不思議なことばかり。










by desertjazz | 2015-12-30 22:00 | 美 - Art/Museum

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