2016年 12月 26日
Movie : "Caravan to the Future"(と、浮かんだ雑感)

今夜は渋谷UPLINKで、デコート豊崎アリサが制作したドキュメンタリー映画『Caravan to the Future』の完成記念上映会(+木内みどりとのトーク)に行ってきた。
・http://www.uplink.co.jp/event/2016/46848
この映画はニジェールからナイジェリア北部カノまでを往復するラクダを使った塩キャラバンに4ヶ月密着したもの。淡々とありのままに撮影されており、観たい映像、聴きたい声、知りたい事実が丁寧に記録されていて、アリサのセンスが光る貴重なドキュメントだ。塩キャラバンの過酷さが伝わってくるし、物々交換のサイクルの描き方も適切な一方、キャラバンを率いる老いも若きも笑顔が絶えず、道中しばし遊びもあって見所は尽きない。
なので、とても自然体で観られる映画。また砂漠に帰りたくもなった。
自分はこれまで短い旅行も含めれば、アフリカではサハラの他に、エチオピアのダナキル砂漠(これは気温50度を超える砂漠をゆく塩キャラバンの取材が目的だった)やボツワナのカラハリ砂漠を歩き回った。確かにどこも環境は厳しいが、それでも毎度旅を終えるとすぐに戻りたくなる。
理由のひとつは満天にまぶしく輝く星。まるでプラネタリウムのように(と書くと事実はまるで逆だが)周囲360度水平な地平線の上に広がる星空を眺めていると何もかもを忘れていく。世俗の諸事から隔離された感覚がいい。そのことは例えばカラハリ砂漠のど真ん中を車で走っている時、半径100km内には自分とドライバーの2人っきりしかいないのだと気がついた途端、怖さと同時にある種の快感のようなものもおぼえたのだった。
自分が何度でも砂漠に帰りたくなるのは、このどの国にもどの組織にも属していない感覚がとても心地よいからなのだろう。それはあくまでも錯覚に過ぎないのだが。
そんなことが頭に浮かびながら、同時にもうひとつ思い出したのは、自分が飛行機に乗っている時間が好きだと気がついたこと。マジカル・モーメンツ、窓に浮かぶトワイライトや明け方微妙に変化する明かりを眺めるのも好きだ。そして空を飛んでいるときには、国からも仕事からも義務からも諸々の雑事からも解放された気分になる。多分機内でも何も誰にも帰属しない感覚が得られるから、毎年飛行機に乗り続けているような気がする。
砂漠に中にいることと、飛行機の中にいることとは、あくまでも異質でありながら共通点もあるように思う。世界中で出鱈目が大手を振るい、破滅へ向かっていると思わざるを得ない世界、そして自滅へとまっしぐらの日本。砂漠も飛行機も、それらから一時的にも避難させてくれる。もちろんこれはあくまでも、妄想であり思い違いに過ぎないのだが。
などということも頭の片隅にチラチラ浮かんでしまったのだが、頭を空にして眺めていても心地よい映画だろうと思う。砂漠とそこで生きる人々の魅力がつまった映画。多くの方々に観て欲しい作品です! 次回上映は来年 1/17 とのこと。お薦めです!
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この映画を観て、またまたアフリカが恋しくなってしまった。アリサ(敬称略:アリサはアリサ。「さん」付けにはどうも違和感がある。)には、アフリカ再訪に関していろいろ相談させてもらっているところ。まだ計画は諦めていないので、どうぞヨロシク!
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