Sona Jobarteh Live in London 2016


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 昨年 2016年のベスト・ビデオ、個人的にはガンビアのシンガー/コラ奏者、ソナ・ジョバルテ Sona Jobarteh の "Gambia" だ。美しいメロディー、爽やかな歌声、自然と身体がスイングする心地よいリズム。シンプルな曲だけれど、その分だけ親しみやすい。そして、ソナの笑顔。人目見ただけで引き込まれてしまいそうなくらい美しい瞳。そんな彼女の美しさを抜きにしても、"Gambia" という曲とてもいいと思う。ガンビアの隣国セネガルの大地も懐かしくなって、このクリップを繰り返し楽しんだのだった。

  Sona Jobarteh "Gambia" (Official Video)

 ソナ・ジョバルテの "Gambia" はまだ CD になっていないが、彼女は 2011年に自身初のアルバム "Fasiya" をリリースしている。早速この CD を手に入れて聴きながら、いつかライブも観てみたいと考え始めていた。

 すると突然そのチャンスが巡ってきた。11月にユッスー・ンドゥールのパリ公演を観ると決めてから、同時期に予定されている欧州各国のライブ情報をチェックしていて、ソナのロンドン公演の情報をキャッチ。ちょっと強行軍になるが、ロンドンにも足を運ぶことにした。

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 (短い旅行記)

 11月12日に日本出発。ヘルシンキ経由でオランダのアムステルダムへ。アムスの安宿に3泊し、アムスとデン・ハーグで美術館巡り。長年観たかった作品の数々をじっくり眺める。訪ねていく時間帯をしっかり図って行ったので、フェルメールの代表作群含めて傑作はどれも独り占め状態で鑑賞できた。
 オランダではユトレヒト在住のマイケル・ベアードの自宅に泊めてもらえる約束だったが、彼はザンビアでのフィールド・レコーディングにでかけていて不在。マイケルとは1月にサルバドールで13年振りに再会したんだったが、「今回はマジック起こらなかったね」とメールを交わし合う。
 15日に鉄道でパリへ。ユッスーのライブを観て、翌16日、再び陸路ユーロスターでロンドンへ移動。Brick Lane のデザインホテル Premier Inn にチェックイン。ここを選んだのは、予算内で条件良いホテルの中でソナのライブ会場に一番近かったから。

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 さて、ロンドン初日。夕方、会場の Rich Mix へ。丁度リハーサルの真っ最中だったので、しばらく見せていただく。ソナの演奏を間近で観られて、まずはひと安心。日本からやって来て、ここまで辿り着けてよかった。

 実は事前にプロダクション側からは写真撮影とインタビューにOKをいただいていたのだが(「ビデオ・インタビューする?」とも)、迷った上でインタビューは諦めた。ロンドン入りが公演当日になったし、今回の旅の強行日程を考えると(約2週間で8ヶ所に滞在)インタビューするまでの余力はないと判断。

 それでも訊きたいことがいくつかあったので、リハ後ソナに「少しお話できますか?」と声をかけてみた。でも「ちっと忙しいの」と断られてしまった。残念。実際忙しそうだったし、少しナーバスになっているようにも見受けられたので、無理なお願いは遠慮することに。


 Rich Mix はキャパ 200〜300 くらいの小さな会場。彼女のロンドンでの知名度がどれくらいなのか分からないが、フロアはお客さんたちで一杯になった(ワールド系のライブでいつも思うが、ホント若い人がいないな)。そんなこともあって、撮影のポジション取りにも失敗。旅の精神的疲れが早くも出てしまい、今ひとつ音にも撮影にも集中し切れなかった。なので、気持ちを切り替えてビール飲みながら、ライブを自然体で楽しむことに決めた。

 バンドは5人編成。ソナ(歌、コラ、ギター)の他に、ギター、ベース、ドラム、パーカッションの4人。ソナの柔らかい歌と美しいコラ(さすがにテクニックは完璧)を中心に、柔らかい調べが奏でられる。なんともまろやかで心地良いサウンドだ。耳傾けていると自然と幸せな気分にさせられる音楽。もっとアグレッシブな面も見られるかと思っていたが、通して "Fasiya" で親しんだような優しいサウンドだった。これがソナの持ち味なのだろう。

 もっと大きな会場でよりライブな強いサウンドも聴いてみたいと思う一方、彼女のコラの音色を味わうにはアコースティックな響きの環境でゆったり聴くのがいいかなとも。"Fasiya" を紹介する時にも書いたが、「西アフリカ/マンディングの伝統音楽とモダンなポップミュージックとの良質なブレンド」が彼女の大きな魅力なのだと思う。

 今夜は約1時間のセットを2回。アルバム "Fasiya" のオープニング曲 "Jarabi" でスタートし(これもポップないいナンバーだ)、ファースト・セットの最後は "Gambia"(遂に生で聴けた!)。セカンド・セットでは終盤にギター演奏も披露し、"Musow" でシメ。

 と思ったら、息子がジェンベを持って登場! えーっ、ソナに子供がいるのー!? 確かにリハ中にも5歳くらいの男の子がいたな(ソナは1983年生まれなので、全然おかしくないか)。聞くとダンナさんも会場にいたそう。どの人か分からなかったけれど。その息子君、最初は心細そうにプレイしていたけれど、段々堂々とした姿勢に。フェラ・クティの横でプレイさせられたフェミやセウンの子供時代の姿をちょっと思い出したり。ミュージシャンの子供達はこうしたスパルタ教育を受けて育っていくんだな。

 ライブの合間には度々 MC が挟まった。まだアルバム1枚しか出していないので、レパートリーが足りないのかも知れない。でもそのトークも和気あいあいと進み、とても雰囲気が良かった。ソナが寄付のお願いについても随分語っていたことも印象的だった。

 ソナ・ジョバルテは 2014年にガンビアに The Amadu Bansang Jobarteh School of Music を設立。ここはガンビア初の音楽専門家を養成する学校で、8歳〜18歳を対象にジェンベやバラフォンの演奏、楽理など伝統音楽の教育を行っている。彼女はロンドンで暮らしているのだろうとてっきり思い込んでいたのだが、現在はガンビアに戻って生活しているのだそう。そのことに加えて、自身が母親であることから、子供達への音楽教育に熱心なのだろうかと勝手に想像したのだった。

 新曲 "Gmabia" を含むセカンド・アルバムは年内(2017年)にリリース予定。「3月に出る」と断言する音楽関係者にも会った。彼女はまだまだ可能性を出し切っていない状態で、今後の彼女はプロダクション次第だろうと感じた。ともかく新作が待ち遠しい。今度の新作で "Gmabia" と同程度の良質なプロダクションを揃えられたら、彼女は今年大ブレイクするのではないだろうかとも思っている。

 ソナ・ジョバルテは外遊続きで多忙そうだけれど、ガンビアで行っているワークショップも含めて、新作の曲を引っさげて日本にも来てくれないだろうか? そんなことを大いに期待している。


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 ソナ・ジョバルテはとってもフォトジェニック。笑顔がいいので、ついつい笑っているショットばかり選んでしまうなぁ。


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 かつて、世界デビューする前にイダン・ライヒェルの音楽と出会って彼にインタビューしに行ったり、ニョーヨークでユッスー・ンドゥールのでっかいライブがあると知って1泊5日で飛んで行ったり、海外で見たい美術展やイベントがあれば数日の休みを利用して駆けつけたり…。フットワークの良さがひとつの自分らしさなのだろう。今年もフットワーク良く行動して、面白いものをいろいろ見つけてきたいと思っている。







by desertjazz | 2017-01-08 17:00 | Sound - Africa

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