気まぐれに元旦から読み始めたトルストイ『戦争と平和』(新潮文庫版全4巻)約3000ページを読了。登場人物の名前が覚えられず(全巻通して描かれるのは559人!だとか)冒頭の50ページは読み直し。文章の密度に圧倒されながらも、2巻目を終えても「ダメ人間ばかりじゃないか?」と思いながら我慢して読み進めて行ったら、3巻目、4巻目はもうグイグイ来た。特に惹かれたのはプラトン・カタラーエフの話。泣ける! ただし、エピローグの後半は不要だと思う。理論を語るとくどいし稚拙だし、トルストイってまともな恋愛経験がないんじゃないか?なんてことも感じたのだけれど、そのあたりは19世紀の作品だってことを勘案しなくてはいけないんだろうな。
正直なところ、現代人が読んでそれほど面白いと思える小説ではないかも知れない。しかしこの作品は一度読んでおきたかった。そして何より長大小説の醍醐味をたっぷり味わった。実際中盤から読書中毒が嵩じて、連日朝5時起きで読書。読む時間が潤沢にあるワケでもないので、横断歩道の信号待ちの間もエスカレーターに乗っている間も数行稼ぐ読み方だった。おかげで次第に加速がついて、とうとう4週間で読み切った。(第1巻:1/1〜1/10、第2巻:1/10〜1/17、第3巻:1/17〜1/23、第4巻:1/23〜1/28)やっぱり自分は長い小説が好きなんだなぁ。
そこで、これまでに読んだ大長編の中で特に面白かった作品を選んでみよう(2分冊以上の長大なものに限定)。
・マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(集英社文庫全13巻)
・プラムディア・アナンタ・トゥール『人間の大地』シリーズ(めこん、『すべての民族の子』『足跡』『ガラスの家』を含めて全6冊)
・ドストエフスキー『罪と罰』(新潮文庫全2冊)
・ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』(新潮文庫全3冊)
・トマス・ピンチョン『メイソン&ディクソン』(新潮社全集2巻)
・トマス・ピンチョン『V.』(新潮社全集2巻)
・パール・バック『大地』(新潮文庫全4冊)
・ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』(岩波文庫全4冊)
・グレゴリー・デイヴィッド ロバーツ『シャンタラム』(新潮文庫全3冊)
・スティーグ・ラーソン『ミレニアム』(早川文庫全6冊)
1冊ものでは、ガルシア・マルケス『百年の孤独』もカズオ・イシグロ『充たされざる者』も最高だったし、ロベルト・ボラーニョ『2666』や石牟礼道子『苦界浄土』も強烈な印象を残した。村上春樹の長編は全て(繰り返し)読んだし、スタンダール『赤と黒』、メルヴィル『白鯨』、トーマス・マン『魔の山』なども読み終えた。古典では『マハバーラタ』も読了。(いや『ラーマナヤ』だったか? 対して、紫式部『源氏物語』はさっぱり進まずほぼ挫折?)
こうして振り返ってみると、読みたいと思っていた長大な小説はほぼ読み終えているようだ。さて次は何を読もうか? ジェイムズ・ジョイス『ユリシーズ』やトルストイ『アンナ・カレーニナ』には興味が湧かない。ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』は訳文が良くないと聞いて見送り中。今心待ちにしているのは、カール・オーヴェ・クナウスゴール『我が闘争』シリーズの残り5巻。全6巻中の、1冊目『父の死』に続く2冊目がどうやら年内に出るようだ。
それまでの間、フローベル『ボヴァリー夫人』でも読んでみようかな?
(何かお薦めはあるでしょうか?)
#
(追記)
反対に、面白いと思わなかった長編の筆頭は『坂の上の雲』(全8冊)。4冊目まではまだ良かったのだけれど、後半5冊目以降は感じるところが全然なかった。なので読後すぐに処分。長年基本的に本は捨てない主義だったのだけれど、これは数少ない例外(もう1冊、読み終えて速攻で捨てたのは『永遠のゼロ』。あまりに詰まらなくて呆れた。。。)
#
#
#