2017年 11月 18日
France 2017 - Day 3 (Part 1)
★★★ UPしました。→ 【 Live Report : Youssou N'Dour et Le Super Etoile de Dakar 】 ★★★
チケットを買う際、ニューヨークと同様にスタンディングにするか、それとも指定席にするか、一瞬迷ったのだけれど、フロア前方はすし詰め状態になる上、ウォロフ人たちは背が高いし、何より長時間に及ぶことは分かっていたので、指定席で一番高いシートを選択。78ユーロ。
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さて席について一息ついていると、PAチェックの音が 19時半頃に爆音に高まり、ブレイクも挟んで完全に DJ 仕様。Khaled の "C’est La Vie" がプレイされたところからは場内が大合唱に。開演前からこんなに盛り上がってどうするんだ?と呆れる。
19時50分に MC が登場して前座がスタート。MC は煽りまくるのだが、肝心のユッスーはいつまで待っても現れない。結局 21時45分までの間、10組くらいの前座アーティストたちがパフォーマンス。誰もが歌入りの音源(CD?)に合わせて口パクだったのは残念。ベーシック・トラックはどれも気持ちのいいンバラだったのだが。それでもみんな大いに受けていたので、セネガルでの人気者ばかりだったのだろうな。ユッスーのお姉さん、Aby N'Dour の元気そうな姿も拝められた。
しかし、前座が終わって場内が明転した時点でも客の入りは半分程度。ユッスーの人気もさすがに落ちたか、、、と思ったのは大きな勘違い。主役登場の後にはほぼ満席に。数日前にシャトールージュの路上で「チケット2枚求む!」と書かれた紙を目にしたことを思い出す。
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さて、22時ちょうどに本編スタート。これは例年通りセネガルに向けてのテレビ生放送に合わせたものなのだろう。
グラン・バルはユッスーの登場方法も毎回大きな楽しみだ。過去には、セネガルから小船に乗ってセーヌ川に降り立ったり、やはりセネガルから巨大な鞄を持って移動してきたりといったビデオが、まるでライブ映像のごとくステージのスクリーンに映し出される。鞄の時にはベルシーのフロアの最後方からその鞄を引きずってきたものだから、ステージにたどり着くまで10分くらいかかったほど。毎年スーパースターに似つかわしくない演技で爆笑させられるのだ。
しかし、今年もまたやってくれるとは全く予期していなかった。今回も、車で移動し、それからバックステージを歩いてくるバンドメンバーたちの姿がスクリーンに映し出される。それと同時にメンバーたちがステージに歩いてきたことで、途中からライブ映像に切り替わったことがわかる。いつもの企画だと気がつき、期待が高まる。そして演奏がスタートすると、マイクを握り締める男の手が巨大スクリーンに。ここで場内割れんばかりの大歓声 !!! いよいよユッスーの登場だとばかりに思わせぶりな演出。
ところがところが、ユッスーはなかなかステージにやってこない。と思って見上げると、クレーンに載ってカメラを操作している(振りの)男が現れたと思ったら、それはユッスー。ユッスー、何やってんだ !? と思いつつも、またしても爆笑させられたのだった。
バックバンドのスーパー・エトワール・デ・ダカール Le Super Etoile de Dakar は、ギター3、ベース、キーボード3、ドラム、サバール3、タマ、サックス2、コーラス4、合計18人という豪華な編成。もちろん、ババカル・フェイ Babacar Faye やアサン・チャム Assane Thiam の姿も。ニューヨークで観た時と同様、ユッスーの衣装がえ2回を挟む3部構成だった。
第1部は圧巻のンバラ大会。インターナショナル版のコンサートとは異なるセネガル仕様と言えるだろう。第2部に進むとキラーチューンを連発してさらにヒートアップ。中でも "Senegal Rekk"、"Kocc Barma"、"Medina" の3曲が強烈だった。どれもが本当に名曲で、ワクワクしっぱなし。これらをライブで聴けただけでも観に来た価値が大と断言できるほど。特に "Senegal Rekk"! ここ最近何度も書いているが、この曲はユッスーの全キャリアを通じても代表曲になったと思っている。
ステージが進む間、ゲストやダンサーたちが次々登場する。全部で一体何人ステージに立ったことだろう。エトワール・デ・ダカールのメンバーも含めれば50人は軽く超えていた。パフォーマーたちの豪華さも特筆ものだ。ヴィヴィアン Viviane N'Dour(身体が巨大化していて遠目では認識できず)、エイコーン Akon("Conquer the World" をデュエットするもマイクトラブルは残念)、コンゴ出身の若手筆頭ファリー・イプパ Fally Ipupa("Ban La" で共演したイプパの登場にはビックリ)、そして今パリで大人気のコラ奏者シディキ Sidiki も!
合間には頻繁にビデオが上映された。ユッスーを讃えるメッセージだったり、場内爆笑もののドラマ仕立てだったり。その度に大歓声が上がっていたので、役人風のメッセンジャーも、宗教関係者?たちも、俳優たちも、みんな有名人ばかりだったのだろう。
第3部はヒット曲/代表曲の連続。"My Hope Is In You" と "7 Seconds" をイントロにした "New Africa" で始まり、最後は "Birima"、そして "Yité" で幕。コンサート中、ユッスーは何度も「ふぁてぃげー?」と声を投げかけていたが、終わりころには周囲のほとんどがぐったりした様子。「まだやるの?」という顔の姿も。"Birima" を歌い終えてユッスーがステージから消えた瞬間、まだ演奏中なのにフロアの全員が出口へ向かって歩く姿は、まるで巨大な引き潮のようで可笑しかった。
終演は深夜1時45分。ユッスーだけで3時間45分と、まるでブルース・スプリングスティーンのコンサート並み(それでも "Set" も "Immigres" もやらなかった)。そういえば最近のブルースのパリ公演もこの会場だった。DJと前座まで含めるとおよそ6時間。これまでに体験した最長のライブにもなった。
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今回のフランス旅行、とにかく凄いものばかり見せられたけれど、ユッスーのグラン・バルもいろいろな意味で凄まじく、本当に期待通りだった。音楽的な密度に限れば昨年同じくパリは Le Bataclan で観たライブの方がずっと上だったけれど、グラン・バルは意味合いが違う。セネガル・コミュニティーの15000人が集う巨大なお祭りにお邪魔して一緒に楽しむ、そのことに尽きる。
眠かったし、思いっきり疲れたけれど、「楽しかったね」と話しながら、また25分歩いてホテルへ。写真とビデオのバックアップを取り、シャワー浴びてから、朝4時にベッドに倒れこむ。
来年も Le Grand Bal 2018 が開催されるのかな? 帰国後も興奮の余韻が残っていて、「また来年も行こうか?」と相談中。大きな夢が実現した今、今度はダカール版のグラン・バルへ行くか?などといった妄想さえ膨らむのだった。
(2017.12.20 記)