France 2017 - Day 5 (Part 1)



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パリ5日目。

 早起きし TGV に1時間乗ってランスへ。目的はルーブル別館 Louvre-Lens を観ること。ここを一巡りして、お昼にとびきり美味しいクスクスを食べてから、パリへとんぼ返り。ホテルで少し休んでから、Élysée Montmartre へ。今夜は Tony Allen と Shabaka and the Ancestors のライブ。



Tony Allen (Elyée Montmartre)

 最新作 "The Source" の曲をたっぷり聴けて、気持ちよかったー!



Shabaka & The Ancestors (Elyée Montmartre)

 トニーの前に演奏した彼ら、予想してた以上に良かった。アフロ色を意識させる重いサウンドが印象的。ドラマーがいいのかな。今これか?とも思うが、悪くない。テナー、アルト、ヴォイスが3管的に聴こえるのも面白かった。

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(詳しいレポートは後で。→ 下にアップしました。






【 Live Report : Tony Allen + Shabaka and the Ancestors 】


 開演時刻の19時30分に合わせて、モンマルトル足下の Élysée Montmartre へ。本当は旅行初日16日の夜にここで Passi と Bisso Na Bisso を観るはずだったのだが、先に書いた通り前日に公演中止が発表された。残念。

 実は今夜何を観るかも悩ましかった。最初は6年ぶりに活動再開して話題の Fleet Foxes のつもりだったが、新作が物足りなかったのでパス(チケットは即刻完売)。その後、Carla Bley が Dave Douglas のライブに参加することが決まり大喜び。昔から彼女のファンなので。

 ところが今度は遅れて Tony Allen のライブが発表に。Facebook を通じてバンドメンバーに問い合わせると、どうやら新作 "The Source" に準じたジャズ・ユニットでやるらしい。21世紀に入ってからのアフロビートにクラブ・ミュージックをミックスしたようなサウンドも好きだが、"The Source" にはすっかりハマってしまっているので、これは見逃せない。PV 観て、アルバムで聴いて、その度に興奮してしまう "Wolf Eats Wolf" (PV はホント必見!)はライブで絶対聴きたい。なのでステージ姿を拝めるのはこれが最後だろう Carla Bley 82歳は泣く泣く断念。



 Tony Allen と対バン張るのは Shabaka and the Ancestors。南ア出身のプレイヤーが多いバンドとのことで、ワールド・ミュージックとジャズの両方のリスナーから注目されている存在らしい。それで彼らのファースト "Wisdom of Elders" (2016) はリリース直後に買って聴いていたのだが、最初聴いた時には良さがさっぱり伝わってこなかった。どことなくボンヤリしたサウンドという印象しか受けず、CD は放置状態に。フランスへ出発間際に数度聴き直して、結構いいなと思い始めたものの、この夜も Tony Allen たちの前座として一応観ておくかといった程度の認識だった。さほど予備知識もなく(誰がリーダーかさえ知らなかった)過度な期待もしていなかっただけに、これはライブを観て見事に裏切らることに。

 バンド構成は、アルバムからはキーボートとトランペットの2人が外れた、テナーサックス、アルトサックス、ヴォーカル、ベース、ドラムス、パーカッションの6人組。この6人はアルバムのレコーディングに参加したメンバーと恐らく一緒だろう。

 演奏が始まると、とにかくテナーサックスのプレイに圧倒された。彼、シャバカ・ハッチングス Shabaka Hutchings が中心人物なのね。コルトレーン直系のスタイルなのだが、とにかく上手い! 完璧で高速な運指。熱量に溢れ、オルガズムに近い快楽を誘うパッセージ。爆発的かつ暴力的で鬼気迫るフレージングに思わずトリップ。トレーンを連想させる通り、ある種のオールドタイマー感も抱かせつつ、これだけ吹けるインプロヴァイザーがいるのかと唸ってしまった。とにかくシャバカの凄まじいプレイに目も耳も釘付け。ジャズ・サックスをライブで聴いて興奮したのは 2003年の Joshua Redman 以来かも知れない(いや phat の藤原大輔も良かった)。

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 どの曲のテーマ・フレーズも良かったし、ドラムスとベースのコンビネーションも優れていた。リズム隊の重心低い重い音の重なりが、バンド・サウンドの骨格を支えている。

 Siyabonga Mthembu のヴォイスもいい。テナーとアルトと重なるとまるで3管のホーンズのように響く。サックスとヴォイスが自然とブレンドして響く親和性があるのだ。陳腐に陥りかねないちょっと説教的なリリックも、このユニットの中では見事にハマって役目を果たしている。最後にやった "Mzwandile" は説得力あったな。

 彼らのやっているダークでアフロっぽくもある音楽は、聴いていると30年か40年タイムスリップしたようでありながら、とても現代的。Tony Allen の出番までビール飲んで気楽にしているつもりが、結局ステージ真ん前に最後まで陣取って聴き入ってしまった。もしかすると、この後の Tony Allen より良かったかも??

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(帰国後 "Wisdom of Elders" や Shabaka Hutchings 参加の EP "A.R.E. Project" などを聴き返している。彼の生プレイはまた観たい。)



 セット転換して Tony たちが登場する頃には場内満杯。彼は住んでいるパリでも人気あるんだな。そういえば会場入り口付近にダフ屋がいっぱいいた。(10人くらい?)

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 Tony はイエロー、オレンジ、パープルの混じった派手なシャツに白のベスト姿で登場。そしてドラムキットの前に座ってまず最初にしたのはサングラスをかけること。いい爺さんが全くカッコつけてばかりだが、それがとても決まっている。70歳過ぎてもこんなスタイルを通せるって羨ましい限りだ。いつもと同じく笑顔がとってもいいし。

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 バンドはトニーの他に、ベース、ギター、キーボード、それにホーンズが3人(トランペット、テナー、バリトン&フルート)。ジャズ・ユニットながら、カメルーン生まれのギタリスト Indy Dibongue と JP こと Jean Phi Dary のファンキーな2人の組み合わせも大きな魅力。だけど、びっくりしたのは JP の姿だ。トレードマークだった長いドレッドがなくて、すっきりした髪型になっている(先に取り上げた PV の撮影時には、短いながらもまだドレッドだったのに)。でもこのスタイルもダンディーでいいね。対して Indy は巨大なドレッドを垂直に盛り上げて、それが顔を覆うことしばしば。

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 肝心のライブの方は、期待通り最新作 "The Source" のトラックのショーケース。ホーンズ入れたこのバンド編成だとそれは当然だろう。ただしその前作の10インチ、ジャズ・スタンダードのカバー集 "A Tribute to Art Blakey and Jazz Messengers" の曲はやらなかった。ちょっと意外。

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 Tony Allen のプレイを観るのは何度目だろう。アングレーム、ロンドン、渋谷、苗場、朝霧、、、今日で7回目くらいか。今回はアフロビートじゃなく、かなり純ジャズ寄りの内容なので、いつもの、スコココン、スコココン、といったスネア中心にリズムキープする叩き方とはかなり異なった印象。もっと自由なリズムとパッセージで叩いているように感じた。それでももちろんトニーらしさは随所にうかがえる。

 ホーンズはテナーの他に作曲とアレンジも担当する Yann Jankielewicz を中心とする3人。アルバム・レコーディングより人数が少ないこともあってか、やや物足りなく感じた。Yann のホーン・アレンジは本当にいいと思っていて、今回もそれを肌に伝わってくるライブだったが、100%本領発揮だったとは言い難い。

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 とりわけ楽しみにしていたのは、もちろん "The Source" の中でも飛び切り気に入っている "Wolf Eats Wolf" と "Cool Cats" の2曲。ステージをスタートして3曲目に早速 "Wolf Eats Wolf" をやってくれたのだが、ホーンズのうちの一人が入りのタイミングを間違うし、その後もタイミングがビシッとは合わない。最高のナンバーなので気持ちよく生のサウンドを楽しみつつも、ちょっと不満も抱くことにも。でもステージが進むと徐々に演奏が乗ってきて、この曲以外ではさほど乱れはなかった。これまでエレクトリックしか聴いたことのなかった JP は大好きなそのサウンドに加えて(大名盤 "HomeCooking" も "The Source" も彼のキーボード・プレイが重要なキーポイントだと思っている。"Wolf Eats Wolf" のイントロのカッコ良さったらたまらない!)、初めて聴くピアノも味わえたし、時折切り込んでくる Indy のギターも効いていた。

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 最後は "Moody Boy"。この曲はライブで聴くとより良さが伝わってくるなぁ。そしてアンコールで "Cool Cats" をプレイ。これがもう最高だった。プレイヤー側にもオーディエンスの方にも気分の高まりが感じられ、もっと聴きたいと思ったところで今夜は幕に。

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 Yann や JP とは事前に会う相談をしていて、Tony とも久しぶりに会って話をしたかったが、彼らの友人たちや関係者がとても多そうだったし、何よりランス往復の疲れもあったので遠慮することに。

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 70歳を超えてますます活動が旺盛な Tony には頭が下がるし、その活躍振りが嬉しい。毎年様々なレコーディングに引っ張りで多忙な中、Blue Note レーベルとジャズ・アルバムを作るという新たなチャレンジ(それは彼にとって長年の夢でもあったという)を成功させたのは見事だ。このユニットが今後も継続するのか、それともクラブ・フレンドリーなサウンドに戻るのか、はたまた Damon Alburn あたりとまた何か仕掛けてくるのか、それらの何であっても今後も Tony Allen からは目が離せない。

(そして Tony とまた飲みたいな。彼が最初に来日した時、渋谷でこのレジェンドから楽しい話を聞かせてもらいながら、2人でサシで飲んだのだった。それは今から考えると夢のような体験だった。)


(2017/12/23 記)






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by desertjazz | 2017-11-20 23:59 | 旅 - Abroad

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