
地中海に面するフランスの港町マルセイユはこれまで何度訪れただろう。きちんと数えたことがなかったので調べてみた。
最初が 1995年12月〜1996年1月。その後 2006年1月、2006年10月、2009年3月、2012年10月、2015年10月、2016年11月と、計7回滞在している。(Fiesta des Suds に観に行ったのはわずかに3回と意外と少ない。それより、寒い時期にしか訪れていないことに今気がついた。)
20年以上昔に出張で初めて訪れた時(マグレブ移民に関するものでヒップホップも取材した)には、まさか繰り返し来ることになるとは全く想像もしなかった。そうなったのには、やはり Massilia Sound System を筆頭とするオクシタン音楽(と Fiesta des Suds と Babel Med Music )との出会いが大きい。
そんなマルセイユ、行くほどにどんどん好きになる。そしてこの街についてもっと知りたい。そう思って、深沢克己『マルセイユの都市空間 ー幻想と実存のあいだでー』(刀水書房、2017年)を読んでみた。
楽に読めるかと思いきや、とにかく文章が硬いし、回りくどい。特に近世までについて書かれた第三章までが(自分がフランスの歴史に疎いために、数多い固有名詞についていけなかったこともあるが、一文一文が長すぎて流れが悪いと感じた)。それでもギリシア人の流入に始まる2600年の歴史は把握できたし、入り江ラキュドンが港(現在の旧港)へと変化して行く様や、主要道の変貌する様子などは興味深く読めた。時代ごとに織り込まれた地図が理解を助ける。旧港入り口の両側に立つ、見慣れたサン=ジャン要塞とサン=ニコラ要塞が、実はパリ政府がマルセイユに睨みを効かせるものだったのは!
現在のマルセイユの姿は、都市計画の大失敗の結果なのだとか。フランスの他の都市とは違って、ここには中央広場も特別な観光スポットもない。ラ・マジョール司教座大聖堂にしても、共和国通りにしても、エスク門の凱旋門にしても大失敗作で、人々は全く愛着を持っていないとのこと。だから、どこもいつも閑散とした雰囲気で全く存在感がないのか。大笑い! そしてその失敗の歴史は現在の都市計画にも受け継がれているのかもしれない。(最近マルセイユに行かれた方ならそう感じられるかも?)
日々海外の小説などを読みふけっているが、そこにマルセイユが予期せず登場する頻度がとても高い。マルセイユはそれだけ歴史的にも重要な街なのだろう。しかしそれ以前に「マルセイユがまた呼んでいる」と思ってしまう。恋しいマルセイユ、今度はいつ行けるのだろうか? できれば次回は夏がいいな。
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