2018年10月11日(木)の続き
今年の Fiesta des Suds のメイン・ステージ Scene Mer に最初に立つのはマッシリア・サウンド・システム Massilia Sound System。長年マルセイユの顔役を務めて来た彼らこそそれに相応しい。今回の出演全アーティスト中で最長の90分という時間を与えられたことにも、彼らへのレスペクトが感じられる。
ステージの背景には見慣れたマッシリア・ブルーの大幕が吊るされている。まずブルー Blu とジャンヴィー Janvié Claider D とカヤリク DJ Kayalik の3人が登場。ブルーがレスポール・ギターの弦をスティックで叩いて緊張感あるパッセージを刻む。続いて MC3人が現れる。上手からはタトゥー Tatou。下手からはガリ Gari Grèu。そして最後に下手からパペJ Papet J。圧倒的なマッシリアのラガ・サウンド。弾けまくるオヤジたち。コンサート冒頭にキラーチューンを並べて畳み掛ける展開が好きだ。
(昨年のリヨンでは、ステージ真下の撮影エリアから MC3人のショットを狙ってみたが、彼らの動きが速く、3人揃うこともなくて、思っていたショットなど全く撮れなかった。なので今日はビデオ撮影を中心にした。)
その後も、ステージ上から女性たちがパスティスをふるまったり、タトゥーとガリが雑誌を片手にしての掛け合い問答したり、「Petit Oai Star だ」と紹介してからのスタンドアップしたりと、いつも通りのステージ進行。もちろん最後は観客全員が手を繋いでの大輪舞。昨年11月リヨンの Transbordeur で観たライブとほぼ一緒。いや、2007年11月にトゥールーズの Le Bikini で観た時からほとんど変化がないとも言える。
悪く言えば、マンネリ。ここ何年も新作を出していないのだから、それも仕方ないだろう。と言うより、彼らのステージの流れは完成していて、変えようがない。だがそれでいいのだと思う。誰もが彼らのステージを心から楽しんでいるようなのだから。
長年の願望がついに実現した、マッシリアでのマッシリア体験。しかし、マルセイユの場がもたらすマジカルなものはない。会場にトゥールーズやリヨンの時のような熱狂もない。フェスの観客はマッシリアに特化したファンばかりではなく、また広い屋外ステージでもあるので、それも当然だろう。それでもマッシリアのTシャツやパーカーを着たファンがとても多く、彼らへの支持の大きさを感じた。
前半のスピーディーで緊張感漲るサウンド展開に対して、後半になるほど語り合いが多くなって緩さを感じた。そのことを毎度感じるのだが、恐らくそれは私がフランス語を理解しないことに一因があるのだと思い至った。同じことが Moussu T のステージについても言えるのだが、彼らの語る内容が分かれば、まったりしたように感じられた後半も十分に楽しめるのかも知れない。
そんなことも頭に浮かびつつ、彼らのサウンドを浴び、飛び跳ねるMCたちを追う。ワクワクしっぱなし90分間。1年前に観たのとまるで変わらないステージなのに、興奮が止まない。こんな気持ち良さは本当に久しぶり! やっぱりマッシリアは最高だね!
(今回も無意識にステージ上手から撮影。フォトジェニックなこともあって、どうしてもタトゥー中心の撮影になってしまうなぁ。)