
Moussu T & Banane
フェス最終日、本日のお目当は勿論 Moussu T e Lei Jovents。
今年フェスが開催された J4 / MuCEM のエリアが、第3回と第4回の会場でもあったことは、先に Part 1 で書いた。さらに遡って、その前の第1回と第2回の会場は Joliette だった。
Joliette はかつて船乗りたちが世界中から出稼ぎに集まってきた地区。カリブ海出身の黒人船乗りバンジョーを主人公に描かれるクロード・マッケイ Claude McKay の小説『バンジョー』の舞台もここ Joliette だ。そしてマッシリア・サウンド・システムの Tatou がこの小説を読んでインスピレーションを得て、1930年代のマルセイユへの関心を深めたことをきっかけに、同じくマッシリアのブルーと結成したのが Moussu T e Lei Jovents だった。そのことを思い出すと、彼らこそ Joliette - J4 周辺に戻ってきた今年の Fiesta des Suds に相応しいと言えるかも知れない。
個人的に彼らを初めて観たのも、2006年のこのフェスだった。結成当初は3人編成で、哀愁ある曲調が印象的だった。その後メンバー変更を繰り返し、現在は6人編成にまで膨らんできた。このメンバーで作られた新作のテーマは1930年代のジャズだという。アルバムは今月19日にリリースされるので、これが新作お披露目ライブにもなる。
一昨日11日、インタビュー取材やマッシリアのサウンドチェックの合間に Moussu T e Lei Jovents の新作について、ムッスーT(タトゥー)に楽屋で少し話を聞いた。“Operette Volume 1” と “Operette Volume 2” の違いは何かと尋ねると、「今回は対象の幅を広め、音楽的にも深く掘り下げている」とのこと。「Operette の曲は1930年代のレパートリーばかりで、オリジナルは1曲のみ。」
メンバー構成に関して今回一番の変更点はギタリストの新規加入だろう。ギターとバンジョーのコンビネーションが彼らのサウンドの魅力のひとつ。なので、これまでのライブでは、ブルー Blu Attard がバンジョーを弾く曲ではギターを、ギターを弾く曲ではバンジョーの音を、タトゥーがCD再生していた。そこにわずかばかり物足りなさを感じてしまっていたのだが、今のライブでは「ブルーはバンジョーに集中できる」。新メンバーのギタリストのバナナ Banane はまだ25歳という若さで「女性たちにとても人気がある」とも話していた。
さて、ステージ。メンバーたちはいつもと同様上機嫌で、テンポ良く進む。ひたすらハッピーで陽気な曲ばかり。初期の頃の切々とした歌声が懐かしくさえあるほど。メンバー同士のやりとりも楽しそうで、観客たちの笑いが耐えない。フランス語が少しでも分かれば、もっと楽しめるのだろうな。
あっという間の50分間。今回もとても楽しかった。本当に人を幸せにさせる音楽だなぁ。タトゥーとブルーは本フェス中、2ステージを担うことに。お疲れ様でした!
(Part 10 へ続く)
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