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African Music - All Time Best Album (2)

 ミュージック・マガジン7月号の特集「アフリカ音楽ベスト・アルバム」選を引き受けるかどうか躊躇した理由のひとつは、アルバム・レビューを2〜3枚書かなくてはならないこと。評価の定まった作品に関しては、下手なことは書けないし、かといって語り尽くされた作品である分、新鮮味を持たせるには字数が足りない。できればレビュー原稿は避けたい。なので、下位のアルバム2枚くらいの担当にならないだろうかと祈っていた。

 ところが意に反して、案の定、上位のアルバム3枚も執筆することに。こうなることは考えていなかったので、さてさて困った。短文レビューはさらっと書き上げた方がいいのかもと思いながらも、結局悪戦苦闘する結果に(どうしても納得が行かず、それぞれ400字書くのに約10時間)。

 ところでこれら3枚の CD を手にして興味深いことに気がついた。いずれにもサインが入っているじゃない! 3枚のアルバムとも、それだけ自分にとっては大切な作品である証拠なのだろう。


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Youssou N'Dour "Set"

 個人選 30枚の1位は、散々迷った末に Youssou Ndour et Le Super Etoile I de Dakar / Vol.12 Jamm - La Paix -(1990年のカセット)にした。しかし、間違いなく死に票になるので、「Set でも可」と添えてリストを提出。しかし、これが敗因に? 避けたかった "Set" のレビューを書くことになってしまった。

 1991年か92年の横浜 WOMAD でユッスーが来日した時、関係者から「ユッスーに会わせてあげるよ」と連絡をいただいた。けれど、その日からバリ島に観光旅行に行く予定だったので、後ろ髪引かれる思いで折角のお誘いをお断り。すると、その時ユッスーと面会した友人(彼女もその「関係者」から誘われた)がわざわざ私のためにサインを貰っておいてくれたのだ。それがこの "Set" の CD。彼ら2人のおかげで、これは私にとって、とても大切な宝物になった。

 その「関係者」とは、その後、東京ジャズを立ち上げられたO氏のこと。彼はユッスーからの信頼がとても厚く、新作が完成する度に真っ先にその音が送られてきたほどと聞いている。

 WOMAD で面会するチャンスを逃してしまったユッスーとは、Oさんが軌道に乗せた 2003年の東京ジャズでついに初めて会って話すことができた(ライナーを執筆した "Nothing's in Vain" の直後で、『ミュージック・マガジン』から依頼されたインタビューだった)。

 この時、東京ジャズは NHK 以外の媒体の取材を許可していなかったらしく、アルバムをリリースしたワーナーでさえアポが取れなくて苦労したと聞いた。バックステージで会ったAさんからは「Dさんだから OK 出した」と言われたけれど、本当かな?

 そしてその後、東京ジャズの総帥Oさんともばったり。事情を話すと「なぜ事前に連絡してこない! それなら許可出したのに!」とお叱り?を受ける。それから話が盛り上がり、VIP ルームで二人きりで語り合いながら、モニターで Joshua Redman の熱いステージを食い入るように観たのが良い思い出だ。そしてその夜のフォナーレ、ユッスーが中心となって繰り広げたスーパー・セッションのすばらしさはマガジン誌上にも書いた通りだ。

 ユッスーのサインを見ているだけで、いろいろ思い出が蘇り、書ききれないなぁ(ユッスーにはさらに3枚サインをいただいている)。特にOさんが私のユッスー愛を理解して下さっていたことが嬉しい。

 しかし、Oさんは既にこの世にはいない。お会いしたのはその東京ジャズが最後になってしまった。彼とはもっと音楽のこと、ユッスーのことを語り合いたかった。


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Orchestra Baobab "Specialist in all Styles"

 これは初公開! パリ公演のバックステージでバオバブのメンバー全員からサインをもらったもの。レコーディングのみで、ツアーには参加しなかった(アフリカンド Africando のメンバーでもあった)メドゥーン・ジャロ Medoune Diallo のサインだけは入っていない。それぞれの字体に個性が感じられる。特に Issa が。Balla Sidibe はなかなかの達筆。Rudy Gomis は日本が懐かしかったんだろうな。

 この中の2人は既にこの世にいない。それを思うと切なくなってしまうのだが。そんなことを抜きにしても、これは自分にとって一番の宝物かも知れないな。


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Tony Allen "HomeCooking"

 これは確か 2004年にロンドンのバービカン Barbican Centre で開催された Fela Kuti Tribute Festival "Black President - The Art & Legacy of Fela Kuti" のバックステージでトニーに会った時にもらったもの。トニーと2人で雑談していたら、イギリスの新聞記者たちから「僕らでさえ会えないのに、なぜ君が会えるんだい?」と驚かれた。

 3週に渡ったこのフェス、さほど迷うことなく2週目に行った。Tony Allen + Damon Albarn + Keziah Jones + TY & Band、Femi Kuti & The Positive Force + Daara J、Soothsayers、JJC & 419 Squad (!) 、Sandra Isaddre (!!) というとんでもないラインナップだったので。(1週目には Roy Ayers、Dele Sosimi、King Was Ayinde、Seun Kuti など、3週目には Manu Dibango + Courtney Pine & Maaba Maal、Yeba Biena、Cheikh Lo、Les Nubians などが出演して "Red Hot & Riot" を再現。正直できれば、3週とも観たかった!)


 トニー・アレンの "HomeCooking" のレビューは、一度マガジンからの依頼をお断りしている。2003年12月号のクロスレビューの執筆依頼を受けたのだが、それら7枚のうちの1枚が "HomeCooking" だった。この時の7枚には David Sylvian "Blemish" や半野 "Lido" も入っていた。毎晩仕事で深夜帰りしている中、数日で7枚もレビュー書くのは無理なのでお断りしたのだが、編集部は結構私の好みを見抜いているのかと驚いたのだった。もし引き受けていたら、Davis Sylvian と半野は10点満点。Tony Allen も9点以上つけただろう。3作品とも今でも良く聴く大の愛聴盤です!


 うーん、いろいろ懐かしいなぁ! Oさんやイッサとはもう会えないことはとてもかなしいけれど。(個人的な思い出話になってしまい、すみません。)




(2019/06/27 修正)





by desertjazz | 2019-06-21 00:00 | 音 - Africa
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