八谷麻衣『シヌイェから見るアイヌの生活|Life style of Ainu Sinuye』読了。
今月はアイヌ関連の文献を読み漁っている。今日は八谷麻衣さん(マレウレウのマユン)が著した、アイヌ女性の刺青に関する聞き取り調査報告書を一気読み。
とても興味深い内容だった。かつてアイヌの女性が口の周りに入れていた刺青シヌイェ(パーナイとも)について、初めて知ることばかり。
・シヌイェの習慣は明治初期にほぼ途絶えたこと
・その後しばらくは、塗ってそれらしく見せていたこと
・アイヌの刺青は塗料も手法も内地のそれとは異なること
・成り立ちがはっきりしないこと(人さらいを防ぐためではなく、既婚者の証とも言い切れない)
意外だったのは、地域や個人によって、「美しい」「怖い」「何とも思わない」といったように差が大きいこと。刺青をストールやマスクで隠していた時期もあったそうだ。
そして一番の驚きは、シヌイェが法律によって禁止されており、それは今から約150年前、明治最初期の法律によること(そのために、シヌイェの伝統が途絶えてしまった)。さらに、その法規が現在でも存続していることだ。
「私、あんまり運動的になるのは嫌なんですよ。」「私は面倒なアイヌにはなりたくない。」(P.58)マユンはそう留意しながら、国を動かして法律を撤廃させるべく行動している。彼女がここまで深く考えているとは知らなかった。
「私はシヌイェを入れたいと本気で思っている」といったことをマユンがしばしば明かしているのを読んで、どうしてそこまで?と疑問に思っていた。しかしこれを読んで、シヌイェを認めるかどうかはアイヌ文化の本質に関わる問題であること知り、少しだけかもしれないが、彼女の考えが理解できたように思えた。
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マユンたち、アイヌの蝶の4人組マレウレウの新作『ミケミケ ノチウ きらきら星』が 9/4 にリリースを発表になった。久々の新作、とても楽しみ!
『シヌイェから見るアイヌの生活』には、マユンの菱形のシヌイェについての短い説明もある。
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