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アフリカの記憶 025

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 Zaire / Kinshasa 1996

 キンシャサのホテルにチェックイン。
 しばし休憩してから、散策に出る。
 周辺は結構危険だと言われていたが、
 部屋の裏を流れるザイール川に誘われて。 

 用心して、最低限の服装にする。
 Tシャツと半ズボンとサンダルだけ。
 ポケットには、20ドル札1枚と1ドル数枚、
 そしてポケットカメラを忍ばせる。

 ジイドが『コンゴ紀行』で記録した川。
 コンラッドが『闇の奥』で描いた森への入口。
 フォーバスが『コンゴ河』で詳らかにした世界。
 田中真知さんが『アフリカ旅物語』で下った大河。

 ついにここに来た。
 悠然とした流れを見つめて、ただただ感慨にふける。

 「すぐ足下では、丸木舟をこぐ男、
  漁網をたぐる男、
  唄をくちずさむ男。
  CONGO側の対岸からは、
  SOUKOUS が切れ目なく流れてくる。」(当日の日誌より)

 川が撮影禁止なことは知っていた。
 しかし周りに人影はない。
 誰かに見られているはずもない。
 十分周囲を確認してシャッターを切る。

 ところが、

 肩に銃をかけた軍人が突然現れ、尋問を始める。
 一体どこから出てきたんだ?
 言葉が分からない振りをして、ひたすらとぼける。
 そのうちに軍人が3人に増える。

 「写真を撮っただろう。連行する。」(と推測)
 やばい!
 「カメラは持っていない。撮っていない。何が問題なんだ!」
 ひたすら抵抗する。

 しばらくすると、ひとりがボソッと漏らした。
 「シガレット ... 」
 「 ? タバコは持ってないよ」
 「ビール ... 」

 そうか、そういうことか。
 それで済むならばと思い、20ドル札を差し出す。
 しかし、受け取らない。
 何故だ?

 その瞬間、もう一度閃いた。

 20ドル札を引っ込め、
 1ドル札を3枚見せる。
 すると、3人揃ってニッコリ。
 嬉しそうにして、握手まで求めてくる。

 さらに一言。
 「軍人に金を渡したなどと、絶対誰にも喋るな」
 それも優しい口調で。
 そう言い残して3人は去って行った。

 話によると、当時のザイール軍人の月給は約5ドル。
 20ドルなんて大金を見たことがなくてビビったのか?
 20ドルも強請ったと告げられることを恐れたのか?
 いや、20ドルでは三等分できないので困ったのか?

 ザイールはこの後、内戦に突入。
 ザイール川はコンゴ河へと名前を戻した。
 その映像を目にする度に、ザイール兵たちのことを思い出す。
 彼らが立ち去った理由はなんだったのだろう。

 それより、今は少しでも給料上がったかな?


*コンゴ(ザイール)について読み漁り、コンゴ音楽を聴きまくっていたので、この国は憧れだった。しかし、カラハリに続いて、まさか実際来ることになろうとは。願えば叶うものだ。

*キンシャサで宿泊したのは Intercontinental Kinshasa。当時このホテルは日本の西武グループの資本下にあった。なので、SEIBU カードの宿泊ポイント(だったか?)が500ポイントついた。今ではとても考えられない話だ。







by desertjazz | 2020-06-07 00:00 | 旅 - Abroad