Senegal / Dakar 2002
ダカールのファス Fass やピキン Pikine を訪れ、市場界隈にあるレコード屋を覗くと、セネガル、ガンビア、マリ、ギニア、ナイジェリア、コンゴ、ケニア等々のヴィンテージなレコードがどっさり置かれていることがある。中には珍しいもの、貴重なものも混じっていて、思わずヨダレが出かかる。しかしこれらは売り物ではなく、カセットにコピーして売っているというのだ。
そう聞かされて思い出したのは、別冊ミュージック・マガジン『季刊ノイズ』1号(1989年)で深沢美樹さんが書かれた記事「ハイライフの国を訪ねて」だ。深沢さんは 1984年にガーナのアクラでレコード屋巡りをした時のことについて、こう書かれている。
「お目当のレコード屋は、かなりの数(マーケット周辺だけでも4〜5軒)があった。レコード店といっても、本当に小さなものが多い。また数十枚のレコードを売っている露店や屋台風のものもあり、なかなかに楽しい。」
「(探していたE・T・メンサー)以外にもF・ケニヤなど面白そうなレコードが何枚もある。カウンターの奥には70〜80枚くらいのLPが、床の上に無造作に置いてある。ざっと選んだだけでも、欲しいLPが30枚くらいになった。さっそく全部でいくらかと尋ねると、それは売りものじゃないというつれない返事。よくよく話を聞くと、そこはレコードをダビングしたテープを売る店とのことだ。」(P.152)
ダカールのレコード屋を巡っていて、今自分がここで体験しているのは、深沢さんが記事に書かれたことそっくりそのままだと思い至った。深沢さんがガーナを訪れてから18年経っても、西アフリカで同じ商売が続いていることを知り、感慨深く思ったのだった。
ダカールで収穫が多かった反面、Starband のレコード数タイトルなどは、どうしても手に入れられなかった。それで私も何軒かの店にダビングを依頼してみた。すると翌日にはちゃんとカセットが出来上がっている。それが、ファスやピキンを繰り返し訪れた理由の一つだった。カセットにコピーしてもらった音源は、いずれもその後実際にレコードを入手できたが、それでも当時それらの録音を初めて聴けてとても嬉しかったことを憶えている。
(写真はファスの店のひとつ。今から推測すると、「アフリカの記憶 097」の写真の大量のカセットもまた、ダビング元の音源だったのだろうか。)
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